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FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-
番外編  十五歳ルシア×S級モンスター×悪戦苦闘
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闘】はまた違ってくる。

 それをたった今少年は気がついた。戦うことは好きだ、しかし今のこれが戦いと言えるのか。否。これは戦いですらない。攻撃がまったく効かずただ逃げ惑っているだけだ。そんな葛藤の中、敵は待ってはくれない。

 その巨体から考えられないほどの速度で向かってくる敵に足が竦み、身体が思うように動かない。敵が自慢の豪腕を振り上げた時やっとのことで回避するもその時の風圧により少年の未だ小さい体はいとも簡単に吹き飛んでしまう。大地に身体をぶつけながらもゴロゴロと転がった先でようやく勢いが止まる。地に手を着くと少し大きめの水溜りがあった。水に映る自分の泥だらけの情けない顔を見た瞬間、今まで沸々と煮えたぎっていた感情が爆発した。それは……


――憤怒


 この極限で不安定な精神状態の中で日頃では考えられないような感情の起伏が起こる。先程まで感じていた恐怖や畏怖を拭い去るほどの自分への怒り。こんな醜態を晒しておいて何が戦闘狂だ。何がバトルジャンキーだ。自分への怒りが収まらず、震える握りこぶしから血が滴りだす。今度の震える歯音は恐怖からではなく、怒りからくるものへと変わっていた。


「なんて――無様」

 ポツリと漏らした一言で先程までの怒りが一周して失せていった。俯いていた顔を上げると不敵な表情を浮かべ、口元は三日月型へと変わっていた。魔物は瞬時にその変化に気がついた。さっきまでとはまるで違う変化に初めて表情が曇る。だがどちらにしろ相手は傷つきまともに戦える状態ではない。
 そう、気を持ち直しただけのはず……なのに、なのに何故。


――――自分が捕食される側だと本能で感じるのか


 魔物は戸惑いを隠せなかった。
 そして魔物はここでの分岐点を間違えた。素直に野生らしく本能に従い、逃げることが正解だった。逃亡を選択しなかった理由はプライドと今までの優位性。その考え方は間違いではなかった……ただ、相手が悪かった。

 少年が靴の爪先を地面に何度か叩き魔物に向かって不気味に微笑んだ。次の瞬間、少年は凄まじい速さで魔物の真正面に現れた。咄嗟のことであるが十分に対応できた速さにも関わらず、あまりの突然のことに驚愕し硬直して攻撃動作が一瞬遅れてしまった。それが明暗を分けてしまった。

『粉砕の一撃(オールクラッシュ)

 ルシアの鋭い右ストレートが接触した瞬間、魔物の上半身が木っ端微塵に吹き飛んだ。残る下半身からは血飛沫が噴出し辺りに血の雨が降り注ぐ。

 粉砕のDB【粉砕の一撃(オールクラッシュ)】は特殊DBに属している。名前の通り触れたモノを全て粉々に砕く能力。このあまりに危険なDBはこの戦闘中初めて扱えるようになった。どうして使えるようになったのか明確には分からないが恐怖を克服し精神的に成長
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