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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
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」と言っても、反対もしなかった。元々、翔太が言うことに反論などするはずもないが。

 だが、油断したからこそ、翔太は撃たれてしまった。人質の中に紛れ込んでいたテロリストによって。今、そのテロリストは銃を構えて、こちらを威嚇している。「う、動くなっ!」と叫んでいるような気もするが、そんなことは耳に入らない。当たり前だ。そんなことは気にしていられないのだから。今は、翔太の事が最優先だった。

 急いで翔太に駆け寄る。だが、その途中で、テロリストがなのはに向けて銃を撃ってきた。むろん、バリアジャケットに阻まれてなのはには一切のダメージを与えない。だが、五月蝿かった。今は、翔太以外のことは考えたくないのに。だから、なのはは、蝿を追い払うように手を振るう。

「うるさい」

 その一動作だけで、銃を構えていたテロリストは、立っていたその場から、一瞬だけ浮遊し、次の瞬間にはすごい勢いで壁に叩きつけられていた。勢いはよほど凄まじかったのだろう。テロリストは、壁に叩きつけられた瞬間、かはっ、という肺から空気を搾り出すような声を残して気を失い、翔太と同じように床に倒れこんだ。

 なのはが使ったのは単なる浮遊魔法だ。通常であれば、軽いものを動かす魔法。しかし、これは日常的には使われない。なぜなら、この魔法は、動かす物の重さに比例して魔力を消費するからだ。さらに、それを動かす早さにも比例する。よって、大の大人一人を高速で動かすなど魔力の無駄遣いでしかないのだが、そんなことはなのはには関係なかった。今は兎にも角にも翔太が一番だった。

「ショウくんっ!」

 なのはが翔太に近づいたときには、そこは血の海だった。一体、何リットルが、流れ出たのだろう? というほどにおびただしいほどの血が床を染め上げていた。客たちは、悲痛な顔をしながら、翔太を見ているだけだった。その流れ出た血の量を見れば、致命傷だということは、誰の目にも明らかだったからだ。

 だが、それでも、なのはは自分の白い靴が汚れることも構わず翔太に近づく。

「ショウ……くん……」

 あまりの悲惨さに言葉を失った。

 おそらく、撃たれた弾は三発。胸の辺りに一発と腹部に二発の穴が見えた。そこから血が噴水のように流れ出ている。横を向いている翔太の顔は青白く、目は見開かれ、瞳孔は開いているように見える。

「れ、レイジングハートっ!」

 そんな翔太の現状が信じられなくて、なのはは愛機の名を呼ぶ。なのはは、回復魔法が使える。あの四月の事件のとき以来だが、それでも使えるのは間違いないのだ。

 ―――はやく、はやくしないと、ショウくんが●●じゃう。

 焦りながら、愛機が応えてくれるのを待つ。しかし、レイジングハートは応えない。

「レイジングハートっ!!」


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