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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
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なのはは笑った。ふっ、と口の端を吊り上げて。愚かなものを見るような目で。

「嘘だよね」

 そういいながら、彼女は一歩ずつ歩みを進めてくる。アクセルシュータを背負ったまま。それは津波が彼らにゆっくりと襲ってくるのとなんら変わりない。暴力という名の力が焦らすように一歩ずつ近づいてくるのだ。その恐怖に耐え切れるほど幼い心は強くなかった。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 そして、幼い彼が罪を許してもらうための手段として知っているのは、ただ謝ることのみ。しかし、彼女は彼の謝罪を意に介さなかった。ただただ、近づくのみ。

 ああ、彼は神に見捨てられたのだ、と思った。

 しかし、捨てる神あれば拾う神ありというところだろうか。思わぬ相手から、助けが入った。

「なのはちゃんっ! ダメだよ。彼らだって、偶然だって言ってるし、謝ってるじゃないか」

 この時、彼は間違いなく翔太に感謝した。気に食わないやつだと思ってごめんなさい、と心の底から謝った。間違いなく、今のカロにとって翔太は神に近かった。

 しかも、幸いなことになのはにとって、翔太という存在は彼らよりも重要度が高いのだろう。さすがに翔太から制止の声が入れば、無視する事ができないらしい。彼らと翔太をしばらく見比べていたが、やがて、諦めたようにふぅ、とため息を吐くとアクセルシュータをすべて消した。消してくれた。

「あ、あぁ」

 カロの身体中から力が抜けた。あれほどまでに敵意を向けられ、津波の目前に突き飛ばされたような恐怖感は、そこには存在していなかった。死地からの生還だった。少なくとも、彼はそう思っていた。

 だが、安心するにはまだ早かったようだ。意識を戻してみれば、高町なのはが近づいてくるではないか。一歩一歩確実に。

 先ほどの魔力を見たカロは彼女が近づいてくることに恐れ、戦いていた。当たり前だ。彼女が見せたのは、魔力ランクSの欠片だ。ほんの少し彼女が力を見せただけ。それだけでぷちっ、と踏み潰されそうなほどの力を感じるのだ。もしも、彼女が本気になったら―――そのときのことは考えたくなかった。

 それよりも、今は現実が先だ。だが、彼に打てる手段は何もなかった。

 ただ、彼女が近づいてくるたびにカチカチカチと歯がなる。恐怖により、自然と動いてしまうのだ。いつ? いつ彼女は制裁を……、と彼らは思っていたが、彼女は、彼らに近づくだけで何もしてこなかった。そう、何も。

 代わりに魔女は、呪いを残した。彼らの奥底にこびりつくような呪いを。



「―――次はないよ」



 その声は、深く、静かに、しかし、確固たる意思を持っていた。彼女は間違いなく本気だった。万が一に
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