空白期(無印〜A's)
第二十六話 結
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インドだって簡単に解いてしまうかもしれない。その可能性を考えると、人質の人たちを守るためには、万が一に備えて広域結界をはる必要があった。
さて、僕は上手くいったけど、なのはちゃんは―――と、視線をなのはちゃんの方に視線を移してみると、なのはちゃんは、聖祥大付属小の制服に似たバリアジャケットに身を包み、おそらく気絶しているであろうテロリストを彼女のデバイスであるレイジングハートでつついていた。
しかも、なのはちゃんが気絶させたのは、見張り役だった三人だ。つまり、僕が広域結界を展開している間に僕が相手にしていたテロリストまで気絶させたことになる。僕の目的は、テロリストを結界の内部に入れないために範囲外に蹴り出すことだったので、意識を絶つことは二の次だったのだ。
しかし、こうも手際がいいと、彼女も恭也さんと同様に何か剣術のようなものでも習得しているのだろうか、と思ってしまう。魔法だけでも圧倒的なのに、それに加えて技術まで手に入れたら、彼女はまさしく鬼に金棒である。
そうやって、なのはちゃんを見ていると、彼女は僕の視線に気づいたのか、レイジングハートでテロリストをつつくのをやめて、僕に向かって大きく手を振っていた。おそらく、全員、意識がないことを確認したのだろう。
どうやらクロノさんに頼まれたこの区画の制圧は完了したようだ。
こんなことは初めてだったので少し緊張したが、上手くいったようで安心した。僕は、ほっと安堵の息を吐いた後、ああ、そういえば、なのはちゃんに手を振り返さないと、と思い出してなのはちゃんに応えるように大きく手を振った。
―――不意に胸に激痛が走る。
「え?」
その呟きは果たして誰のものか。きゃぁぁぁぁぁ、という悲鳴が近くから聞こえる。不意に痛みを感じた胸に手をやってみれば、ぬるっという液体の感触。その感触の正体を確認するために手を見てみると、僕の右手は赤黒い何かで装飾されていた。
「あ……れ? ごふっ」
その赤黒い何かの正体を見極める時間もなく、不意に吐き気を感じた僕は赤黒く装飾された手を口に持っていく。吐かない様に気をつけたつもりだったが、その努力むなしく胸の中からこみ上げてきたものは、僕の口から吐き出され、同時に感じる錆びた鉄のような味。
僕はその味を知っていた。
―――ああ、そうか、これは……血だ。
冷静だったわけではない。おそらく、一種のショック状態だったのだろう。だが、それを認めてしまえば、もはや僕の意識を保つことは難しかった。僕の意思に反して、立っている事ができない。せめて頭から倒れこまないように膝を突いてショッピングモールの床の上に倒れこむ事が精一杯だった。
倒れこむと同時に粘度の高い液体に身を沈めたのか、
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