暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十六話 転
[9/18]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
むように俯いていたなのはちゃんだったが、僕が改めて念を押すように言うと、まるで観念したようにコクリと頷いた。

 大丈夫かな? と、なのはちゃんのことを考えると少しだけ不安だったが、いくら友達とはいっても僕が常に隣にいるとは限らないのだ。別世界でも良いから、友達ができて欲しいと思った。一度でも友達の作り方がわかれば、きっと、向こうに帰っても役に立つだろうから。それに、共通の話題を持っていることは友達になるには十分すぎる条件であり、向こうの世界よりもやりやすいはずである。むしろ、この場合、知り合いである僕が付き合ったほうが友達になりにくいだろう。

 だから、僕はあえて、なのはちゃんと別行動をとることにした。

 なのはちゃんに、頑張って、と激励の意味をこめて言うと、僕は、なのはちゃんに背を向けて、男の子のグループが固まっている方向に向けて歩き始めた。

 元々、あまり離れずに練習をしているため、さほど時間をかけずとも男の子達のグループに近づく事ができた。ある程度まで近づいてくると、向こうから勝手に気づいてくれたようだ。3人のうちの一人がこちらに訝しげな視線を向けてきた。その色に込められたのは、とても歓迎とは思えない。だが、その視線に屈することなく、僕は近づいた。

「なんだよ」

 声色からもとても歓迎ムードとは思えない。なんで、こんなに最初から敵意丸出しなんだろう? と疑問に思いながらも、できるだけ笑みを浮かべて、声が届く範囲まで近づいた。その頃には、他の面々も僕に気づいたのだろう、胸に手を当てたり、深く深呼吸をしたりして魔力を感じようとしていた手を止めて、全員が同じように訝しげに僕を見ていた。

「僕は、少しだけだけど、もう魔法が使えるからね。よければ、君達に教えようと思うんだけど―――」

「はっ! 余所者に教えてもらうことなんかないっ!」

 どうだろうか? と最後まで言わせて貰うこともできなかった。おそらく、最初に気づいたのがリーダー格の人間だったのだろう。僕が魔法を使えるというと、明らかに不機嫌そうな表情をし、すべてを言い終わる前に僕の提案を蹴っていた。取り付く島もないというのは、まさしくこのことだろう。しかも、興味深げに見ていた他の子たちにも、その意見に賛成させるように、ほら、やるぞ、と僕から意識を外してしまった。

 もしも、これが教官から頼まれたことでやらなければ、いけないことなら僕ももう少し粘っただろうが、明らかに彼らは、僕が管理外世界から来たことを知っており、そのことで魔法世界の住人であることのプライドが刺激されたのか、明らかな嫌悪感で僕を拒絶した。教官も『できれば』と言っていた以上、彼らにはこれ以上近づかないほうが良いだろう。もっと、こじれそうな気がするから。こういう時は、近づかないほうが吉のこ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ