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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十六話 転
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、彼女たちとなのはちゃんは面識があったはずだ。だが、なのはちゃんは、アリサちゃんとすずかちゃんの名前を聞くと、「そう」とだけ呟くと、不機嫌そうな顔をした。

 あれ? なにか機嫌を損ねるようなことを言っただろうか? と考えてみるが、特に僕の発言に不自然なことはない。しかし、不意に、もはやすでにほとんど忘れかけている前世の言葉を思い出した。曰く、女の子と一緒にいるときは、他の子の話をしない、というものだ。それを聞いたのは僕が中高生のときであり、小学生はあまり関係ないような気がするのだが。

 しかし、なのはちゃんが不機嫌であることは事実だ。どうしたものか? と考えたとき、左手で持っていたもう一つの紙袋の存在を思い出した。この不機嫌を予想していたわけではないが、少しでもこれが役立てばいいのだが。

「あ、そうだ。なのはちゃん、これを忘れるところだった」

「……これは?」

 僕は左手で持っていた紙袋をなのはちゃんに差し出した。それをなのはちゃんは不思議そうな目で見ている。

「プレゼントだよ」

 そう、プレゼントだ。今回、僕のせいで、せっかく仲良くなれた女の子と距離を置かれてしまった。その償いではないが、お詫びの意味もこめて、プレゼントを用意したのだ。もっとも、それを思いついたのは、会計する直前に偶然にも、あれが目に入ったからだが。

「……開けていい?」

「どうぞ」

 恐る恐るといった様子で、受け取ったなのはちゃんは、信じられないものを見るような目で、プレゼントを見ていたが、やがて、ちらっ、ちらっ、とこちらを伺い、ついに耐え切れなくなったのか、許可を貰うと、大切なものを扱うようにとめられたテープをゆっくりと外して、紙袋を破らないように中に入ったものを取り出した。

「わぁ……」

 紙袋の中に入っていたのは、桃色の大きなリボンがついた髪留めが2つだった。少しリボンが大きいかな? とも思ったが、女の子なら可愛らしい部類に入るものだろう。セミロングの長さのなのはちゃんはいつもツインテールのように髪を結っている。だから似合うと思ったのだ。しかも、布でできているのかわからないが、持ってみると大きさの割りに重さが殆どないという魔法世界の代物だった。

「ショウくん、ありがとうっ! 大切にするねっ!」

 まるで向日葵が咲いたような笑みを浮かべるなのはちゃん。ちょっとしたものなのに、そこまで喜んでくれるとは思わなかった。しかし、自分がプレゼントしたもので、そこまで喜んでくれるなら、プレゼントした側としては、冥利に尽きるというものだ。

「うん、大切にしてくれると嬉しいな」

 なのはちゃんは、先ほどまで不機嫌だったのが、嘘のようにニコニコしている。僕は少しだけ気恥ずかしかった。その気恥ずかしさを振るい
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