空白期(無印〜A's)
第二十六話 転
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もなかったので、彼らとは最初の険悪な関係のままだった。何より、最初から敵意を持っている人間と良好な関係を築くまで持っていくのは、非常に骨が折れることなのだ。そういうわけで、放置していたのだが、まさかこんなところで表面化するとは夢にも思わなかった。
なのはちゃんは、僕と彼らを順番に見る。なのはちゃんが何を考えているか分からない。しかし、ここで問題を起こすわけにはいかないだろう。ここには、クロノさんの紹介できているのだ。ここで問題を起こしてはクロノさんにも迷惑がかかるだろう。
僕と彼らを交互に見ていたなのはちゃんは、やがて、クルクルっと彼らを指していた指先を動かすと彼らを包囲していたアクセルシュータをすべて消した。桃色の檻ともいえる場所から生還した彼らの顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったまま、一瞬何が起きているのか分からない、というほどに呆けていた。
何はともあれ、なのはちゃんが彼らに危害を加えることなく、魔法を素直に消してくれたことにほっ、とした。しかし、その僕の安心を奪い取るようになのはちゃんは、ツカツカと生還したことを喜んでいる彼らに近づいていた。お互いに生還したことを喜び合っていた彼らもなのはちゃんが近づいたことに気づき、体を強張らせていた。
まさか、直接、殴ったりしないよね。
魔法を使っちゃいけない、といったので、実力行使に出る、なんて思考回路はしていないと思うが、それでも心配になった僕は、なのはちゃんを追いかけようと思ったが、僕の心配は杞憂だったようだ。なのはちゃんは、彼らに顔を近づけるとボソボソと何か呟いただけで、それ以上は彼らに興味を失ったように僕の方に向かってきたからだ。彼女の表情は、先ほどの不機嫌は何所へやら、晴れ渡った空のように笑っていた。一方、なのはちゃんの肩越しに見える彼らの表情は、ご愁傷様というほどに恐怖に震えていたが。
一体、何を言ったんだろう。
たった一言で、そこまで震え上がれるとは、どんなことを言えば可能になるのだろうか?
「なのはちゃん、彼らに何を言ったの?」
僕の傍まで来たなのはちゃんに気になったことを聞いてみたのだが、彼女は、少しだけ考えた後、唇に人差し指を当てる仕草をし、笑いながら一言だけ言った。
「秘密、だよ」
◇ ◇ ◇
結局、なのはちゃんのちょっとした暴走の後、イスカ教官に事情を聞かれ、怒られてしまった。不用意に魔法を使うものではない、と。事実、なのはちゃんが魔法を使ったのは、あまりに過剰反応だったので、素直にそのお説教を受け入れるしかなかった。
しかも、悪いことは重なるようで、僕にちょっかいをかけたことでなのはちゃんが、魔法を使ったわけだが、その力が圧倒的過ぎたらしい。その事件の次の日からは
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