空白期(無印〜A's)
第二十六話 転
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―――いたはずのなのはちゃんが、明らかに怒っています、という表情を浮かべながら、背後に無数のアクセルシュータを背負っていた。しかも、その狙いともいえる彼女の右手の指先は、僕の背後にいる彼らを狙っている。
「ど、どうしたの? なのはちゃん」
別に彼女達に請われたわけでもないので、なのはちゃんがアクセルシュータを展開する必要はどこにもないはずだった。いや、彼女が怒っていることから考えれば、魔法を見せてくれ、とお願いされたわけではないだろう。
「あいつら、ショウくんに魔法を当てようとした」
なのはちゃんは、男の子のグループから目を離すことなく、淡々と事実を告げる。同時に、周りに展開していた数えるのも億劫なほどのアクセルシュータを指先をタクトを振るうようにして移動させる。僕に魔法を当てようとした男の子達の周囲に檻のように配置する。それが攻撃魔法でなければ、誰かを逃がさないようにするためという意味でなければ、見事な魔法操作だっただろう。
しかも、そんな攻撃魔法に囲まれたことは当然ないのだろう。男の子達はお互いに身を寄せ合って、ひぃ、と短く悲鳴を上げていた。その間にも段々と距離を縮めるように近づける。
「ち、違うんだっ! あれは、偶然で、失敗した魔法がそいつに飛んでいっただけなんだ!」
まるで、許しを請うように男の子の一人が叫ぶが、なのはちゃんは、その訴えを聞いても、ふっ、と笑うだけだった。
「嘘だよね」
男の子から訴えを一蹴したなのはちゃんは、さらにアクセルシュータの距離を縮める。もはや、彼らに逃げ場はない。アクセルシュータがなのはちゃんの命令で打ち込まれれば、無数の弾丸に似た魔法が彼らを直撃するだろう。彼らに逃げ場が用意されていない事が分かるのか、彼らの顔は、恐怖のためだろう涙でぐちゃぐちゃになっており、何か小言で呟いているように見える。口の動きから考えるに『やめろ』とか『ごめんなさい』だろうか?
などと冷静に状況を見据えている場合ではなかった。
「なのはちゃんっ! ダメだよ。彼らだって、偶然だって言ってるし、謝ってるじゃないか」
勿論、彼らが嘘を言っていることぐらいは、僕にだって分かる。最初から僕に取り付く島も与えなかった彼らだ。僕らが関与することで女の子達は例年の数倍の速さで魔法が使えるようになっているらしい。しかも、話の中に出てきたのだが、彼女達と彼らは、知り合いなのだ。僕らのせいで、彼女達が自分達よりも上に行っている。しかも、彼らが余所者と言っている管理外世界の人間のおかげで。
彼らの自尊心が刺激されてもまったくおかしい話ではないだろう。僕が彼らと良好な関係でも築けていれば、もっと話は違っただろうが、彼らとは、今回限りだと思っていたし、特に彼らと良好な関係を築く理由
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