空白期(無印〜A's)
第二十六話 転
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もしれない。いや、もしかしたら、周りのなのはちゃんの魔力が強すぎて、自分の魔力を見つけられないのかな。どうなるんだろう?
結局、女の子のグループ四人が自分の魔力を見つけられたのは、その日の実技が終わる寸前だった。その間、僕は魔力を出しっぱなしで、実技が終わった頃にはへとへとだ。自分の魔力を見つけられた女の子達が喜んで、僕たちにお礼を言ってくれたのは嬉しい限りだったが。
もちろん、なのはちゃんは、なんでもないように平然としていたが。
◇ ◇ ◇
ずいぶん、波乱の初日だったが、それ以降は平穏だった。確かに、なのはちゃんに対する好奇の視線は強かったが、それでも実技は、同じグループの女の子たちと一緒なので、さほど気にならない。ついでに実技の時間は自分のことで精一杯になるからだろう。だれもこちらを気にすることはなかった。
一方で、魔法世界の生活だが、初日以降、僕はアリシアちゃんとなのはちゃんと初日と同様に一緒に寝るはめになってしまった。アリシアちゃんは、なぜか病院に行った日は酷く甘えてくるし、なのはちゃんは、寝る直前になると袖を引っ張って無言で訴えてくる。初日を承諾してしまったばかりに、後日拒否するというのは、特に理由がない限りは、拒否しづらい。
幸いなのは、この状況に慣れてしまったことだろうか。『女の子と一緒に寝る』という部分に気恥ずかしさは感じるが、慣れてしまえば、しょせん、彼女達は小学生だ。そんなに深く考える必要はなかった。さすがに高学年になってまでこんな状況では困るものだが。
僕は、このまま平穏無事に魔法世界の講習が終わる、そう思っていたのだが、世の中、そうそう上手くは回っていないらしい。
それを僕が感じたのは、魔法の講義も半分ほど消化した午後の実技の時間。ようやく、魔力を自由自在に取り出せるようになった女の子達に基本的な魔法の使い方を教えていた時間のことだった。
僕の背後で、パンッという軽くまるで、風船でも割れるような音がした。
「え?」
思わず、その音に振り返ってみると、そこには何もない。ただ、僕の背後から少し離れたところに僕たちと同じグループの男の子たちがいるぐらいだろうか。ただし、どこか驚いたような、怯えたような表情をしながら。生憎ながら、僕の背後で起きたことなので、僕には事態の把握をする事ができない。
「ねえ、どうした……っ!?」
おそらく、僕の背後が見えていただろう女の子達に事情を聞こうとしたのだが、そんなことはぶっ飛んでしまうような事態が目の前に広がっていた。
僕と同じように女の子グループの一人に魔法を教えて―――残念ながら、なのはちゃんの教え方は、感覚がほとんどで、コミュニケーションの練習以上の意味は持っていなかった
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