空白期(無印〜A's)
第二十六話 転
[11/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
にした。幸いにして、この講義は10日間続く。午後の実技だって、同じグループで行うだろう。つまり、ここで一緒に練習する事ができれば、10日間は一緒なのだから、なのはちゃんも打ち解けられるはずだ。今は、僕が先導するしかないが。
「ちょっと、両手を出してくれないかな?」
僕に話しかけてくれた女の子に僕は、両手を出すように言う。彼女は、頭に疑問符を浮かべながらも大人しく両手を差し出してくれた。その彼女の両手に僕の手を重ねるように近づけると、僕は自分の魔力を体に纏わせるように展開する。僕特有の白い魔力光が身体全体を包み込む。
彼女達は、僕たちが本当に魔力を使えるとは信じていなかったのだろうか、僕が魔力を展開した瞬間に、おぉ、という歓声を上げていた。その声に苦笑しながら、僕は、纏わせるように展開した魔力をそのまま、伸ばすようにして両手を差し出した彼女の周囲に纏わせる。両手は魔力の橋渡しのような役割を担っている。
「えっ、えっ!?」
もちろん、僕が何も言わなかったものだから、両手を差し出した彼女は、困惑の二文字だ。だから、僕はそれを落ち着けるように声をかけた。
「落ち着いて。いい、目を瞑って、身体の周囲にある魔力を感じて。そして、同じものを君の中に見つけるんだ」
これは、僕がユーノくんから習った魔力の使い方だ。もっとも、僕の場合は、ユーノくんが肩に乗って、魔力を展開してくれたが。なんというか、魔力には、どこか心臓に似たように鼓動がある。それは、他人のものとはいえ、魔力に触れていれば分かる。ましてや、今は魔力に包まれているような状態だ。胸に手を当てて心臓の鼓動を感じるよりも容易く感じられるだろう。
「ほら、なのはちゃんも、手伝ってあげてよ」
これの問題点はワンツーマンにならざるを得ないというところだ。しかも、自分の中の魔力を見つけるには、個人差があるらしい。僕は二晩かかった。この子の場合はどうなるだろうか? 僕もずっと魔力を展開するのは疲れるので、少し休憩を挟むことになるだろう。
チラリと横目で、なのはちゃんの様子を確認してみると、僕と同じように両手を差し出した女の子になのはちゃん特有の桃色の魔力光を纏わせていた。ただ、ちょっと、両手を差し出した女の子の表情が引きつっており、おっかなびっくりといった様子だ。気持ちは分かる。こちらで魔力を展開しているにも関わらず、なのはちゃんの魔力ははっきりと感じられるほどに強大で、力強いのだから。
僕が、小川とすれば、なのはちゃんは激流だろうか。小川に足を突っ込むのは簡単だが、激流に足を突っ込むのは自殺行為だと考えてもおかしい話ではないだろう。だが、幸いにして魔力は危害を加えるようなものではない。むしろ、なのはちゃんのほうが魔力を感じやすくて、見つけるのが簡単か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ