空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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く。水晶球は、その形に違わず、僕にひんやりとした感触を与えてくれる。
「え〜っと……あら、君、すごいわね。魔力ランクAね」
珍しいものを見つけた、といわんばかりに顔を輝かせるお姉さんだが、僕にはあまり実感がなかった。一体、どれだけが平均か分からない上に、僕の後ろには、さらに魔力ランクが高いなのはちゃんがいるのだから。だから、僕はいまいち、実感を得ることなく、ありがとうございます、とお礼だけを言って、測定の列から離れた。
しかし、そのまま席に戻ることなく、なのはちゃんの測定が終わるのを待つことにした。結果は分かっているが、一緒に来た友達なのだ。待たないというのは友達甲斐がないだろう。機械を処理していたお姉さんもそこら辺には目を瞑ってくれているのか、特に何か言われることもなかった。
そして、僕と同じような手順を踏んで、なのはちゃんの魔力が測定される。測定されるまでの時間はほぼ一瞬だ。だから、すぐにでも結果が出て、なのはちゃんに告げられてもおかしくない。しかし、そうはならなかった。おそらく、彼女の目下に置かれたモニターに結果がでるのだろうが、彼女は、そこに信じられないものを見たような表情をしていたからだ。
「ご、ごめんなさい。もう一度いいかしら?」
固まったままの受付のお姉さんだったが、どうやら、計測ミスがあったらしい。最初と同じようにコンソールを操作し、ついでに、何か追加の操作を行ったあと、改めてなのはちゃんに水晶球の上に手を置くように告げた。なのはちゃんは、特に不満を持つこともなく、お姉さんに従っていた。
再び測定されるなのはちゃんの魔力。しかし、やはりお姉さんは、信じられないものを見るような表情をしていた。
ここまで、くれば先ほどのやり直しが計測ミスでないことは分かった。おそらく、なのはちゃんの魔力が信じられないだろう。僕の魔力で、すごい、と言っていた。ならば、それ以上であるなのはちゃんは、一体どうなるのだ、と。しかも、聞き耳を立てていた限りによれば、魔力ランクSなんて聞いたことがない。つまり、相当レアなのだろう。
「ちょ、ちょっと待ってね」
それだけ言うと、彼女は、横で同じように別の子を相手にしていたお姉さんを呼ぶ。そして、呼ばれた彼女は、自分も忙しいのに呼ばれたことに不満げな表情をしながら、同じようになのはちゃんの魔力が表示されているであろう計測器の結果を見て、愕然としていた。
「……故障じゃないの?」
「ないわよ。セルフチェックかけて異常なしよ。これ二回目だし」
「それじゃ、次はこっちでやってみましょう」
そういいながら、なのはちゃんは隣の機械で再度計測を行うように言われる。さすがに三回目ともなるとなのはちゃんも少しだけ不満そうだったが、それでも、隣の機
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