空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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当たりをつけて書き込むことにした。幸いにして教官としての質は当たりだったのか、ホワイトボードの注釈を指しながら言ってくれるため、特に問題はなかった。
教本どおり進められる授業の内容は、交通ルールというような安全教習のようなものではなく、魔法の歴史という部分まで含んだ小学生ぐらいの年代には少し難しいんじゃないだろうか、というような内容を含んだものだった。
かいつまんで話せば、時空管理局設立までの歴史が軽く語られていた。
なんでも、ミッドチルダを含んだ魔法世界は、もともと魔法のみを原動力として社会ではなかった。むしろ、僕たちのような社会だろうか。しかし、状況は僕たちの世界よりもかなり悪いといえる。なぜなら、僕たちの世界では伝家の宝刀である破壊兵器が使われるような戦争が勃発していたからだ。長年続いた戦争に終止符を打ったのが、時空管理局の前身である組織だった。そして、彼らは、誰もが簡単に次元世界の平和を脅かす事ができる質量兵器を禁止した、というわけらしい。
その代わりにエネルギーとして使われたのが、魔法というわけだ。少なくとも魔法には核兵器のように一人で大量に人を殺せるような力もないし、非殺傷設定で、殺さないようにすることも可能で、おまけに公害がないクリーンなエネルギーとして使われるようになった。そう教官は締める。
その説明を聞きながら、なるほど、と思う一方で、魔法世界の脆弱性にもなんとなく気づいた。質量兵器―――要するに、科学というべきだろうか、それらには、確かに誰でも使えるという利点がある。しかしながら、魔法は、個人の才能に左右される。たとえば、僕は魔力ランクAをもっているが、なのはちゃんは魔力ランクSだ。階級がある、しかも、世界の原動力となるエネルギーで、だ。そこには、どうしても格差が生まれるのではないだろうか、と僕は懸念する。
もっとも、簡単に話を聞いただけで、僕が感じたことであり、世界は平穏に動いているだけに、実情は違うのかもしれないが。
さて、授業はそんな調子で続いていく。軽い魔法の歴史が終わった後は、魔法を使うときの注意事項だ。こちらは、どちらかというと、小学校の自転車講習に近いかもしれない。
街中で勝手に魔法を使ってはいけない。殺傷設定の魔法は使ってはいけない。高い技術力が必要な魔法を使うときは、魔法が使える大人の人に見てもらう、などだ。後は、細かいルールのようなものが説明されていた。教本にもポップな絵と一緒に載っており、プラカードを持った可愛らしいキャラクターがダメだよ、と言っている。
そんな授業がお昼前まで続いただろうか。教本で言うところの第一章が終わったところで、教官がぱたりと教本を閉じた。
これで、終わりかな? と思ったのだが、それにしては、多少時間が余っている。
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