空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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うだ。二人なら、何所でも座れる。
さて、ここで、どこに座るかで、ある程度の性格が分かる。前の方に座る人は、積極性があるか、あるいは、教授に顔を覚えてもらい、下駄を履かせてもらおうという下心のある人間。後ろの方に座る人は、目立ちたくない人間か、あるいは、後ろめたいことをする人だ。真ん中の方に座る人は、その両者でもなく、適当という言葉が当てはまるだろう。
ちなみに、僕は、前のほうに座る事が多かった。一番前ではないが。
今回も前世の習慣に習って、とりあえず前のほうの席に座った。聖祥大付属小の小学校の机とは異なり、椅子を引く形ではなく、映画館のように椅子が折りたたまれているタイプだ。しかも、普段はもっと身長がある人が使うために設置されているのか、僕たちからしてみれば、サイズが合っていないため、足をぶらぶらさせるような形になってしまった。
もっとも、よくよく周囲を見渡してみれば、僕たちと同じような年齢の子どもも数多くいることが分かった。むしろ、中学生のような年齢の子どもはいないといってもいい。やはり、魔法世界というだけあって、こういう魔法講習は、子どものうちから受けるのだろうか。
僕もなのはちゃんも慣れない場所で緊張しながら待っていると、やがて、前方に設置してあったドアから一人の壮年の男性が出てきた。彼は、ツカツカとこちらに目をくれることもなく、中央に設置している教壇までくると、ようやく僕たちのほうに目を向けた。その瞬間に、気心しれた仲間と話していた面々が一斉にお喋りをやめる。同世代とは思えない反応だが、これが魔法世界では普通なのだろうか。
そんな疑問を余所に、にこやかな笑みを浮かべたまま教師と思われる男性が口を開く。
「さて、皆さん、おはようございます。今日から君達に魔法講義初級を教えることになる時空管理局のイスガ・ヤマモトと言います。まあ、挨拶はこんなところでいいでしょう。魔法は確かに便利ですが、その使い方を誤ると大変なことになってしまいます。道具と同じですね。だから、一緒に勉強していくとしましょう。それでは、配られた教本の―――」
実に簡単な彼の事項紹介の後、早速、授業が始まってしまった。早いなあ、とは思ったが、日程的に10日もあると考えていたが、実は、彼らからしてみたら10日しかない、と思っているならこの早さも納得できる。僕としては、だらだらと長い雑談をされるよりもすっぱりと入ってもらったほうが好意を感じる。
そんなことを考えながら、僕は慌てて、一緒に持ってきていた鞄から筆箱とノートを取り出したのだった。
授業を受ける上で、問題となったのは、ホワイトボードに時折、教本の追記事項として書いてくれるのだが、その文字がミッドチルダ語で、読めないということだ。仕方ないので、教官が言ったことと
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