空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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とである。管理外世界といわれるほど交流がなかった両方の世界だ。英和辞典のようなものはないだろう。ならば、貰ったところで読めないんじゃ意味がないよな、と思いながらも、どんなものなのだろうか? と思いながら、手提げ袋の中から予想通り入っていた教本の一冊を取り出して、ぺらぺらと捲った。
「あれ?」
パラパラと捲っただけだが、それでも、思わず声を出してしまうほどの違和感を覚えた。捲りながらところどころ垣間見える文字を僕が読む事ができたのだ。おかしいな、と思って手を止めて、開いてみれば、そこに書かれていたのは、ポップなイラストでプラカードを持った少女と説明のために書かれた日本語だった。
「どうしたの? ボク?」
「いえ、文字が……」
僕が声を上げて驚いていたことに気づいたのだろう。わざわざ、椅子に座っていた受付のお姉さんが僕に近づいて、様子を伺ってくれた。僕は、受付のお姉さんに手に持っていた本を見せながら、文字が僕たちの世界のものであることを伝えようと思ったのが、全部を言い終わる前に受付のお姉さんは合点が言ったのだろう、ああ、と気づいたように声を上げた。
「教本なんだから、読めなかったら意味ないでしょう? それに、ボクたちの第九十七管理外世界の出身者もミットチルダにもいるから、その本も作れるのよ」
「え? 僕たち以外にもいるんですか?」
予想外だった。僕はてっきり僕たちが最初の来訪者だと思っていたからだ。
「いるわよ。君は、クロノ執務官の紹介なんでしょう? なら、クロノ執務官の親しい上官のグレアム提督が君達と同じ世界の出身だったわよ」
受付のお姉さんが教えてくれた僕たちの世界の出身者の正体に驚いた。まさか、こんなところで接点があるなんて思わなかったからだ。
とりあえず、教本が日本語である理由は納得でき、受付のお姉さんにありがとうございました、と頭を下げた後、隣の受付のお姉さんで受付をして、同じく教本を受け取ったなのはちゃんと合流すると、僕たちはクロノさんが待っているであろう場所へと戻ることにした。
「やあ、受付は終わったかい?」
「はい、無事に」
僕は、その証拠といわんばかりに貰ったばかりの教本が入った手提げ袋を見せた。僕の様子をちらちらと見ていたなのはちゃんも同様にクロノさんに手提げ袋を見せていた。今気づいたが、手提げ袋の色が、僕は青なのになのはちゃんは赤だ。男の子用、女の子用ということだろうか。
「それにしても、驚きましたよ。まさか、クロノさんのお師匠さんが僕たちの世界の出身だったなんて」
「おや、誰かに聞いたのかい?」
「ええ、あそこのお姉さんが教えてくれました」
クロノさんが、意外そうな顔をしたので、僕は親切にも教えてくれた受付のお姉さんを
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