空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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じく『時空管理局』と書かれた腕章を持った女性が二人座っていた。
「あそこで、受付をするんだ。登録は、済んでるから、出身世界と名前だけで大丈夫なはずだ」
「分かりました。行こう、なのはちゃん」
「うんっ!」
僕の想像は間違っていなかったらしく、彼女達は受付嬢のようだ。もしも、何か記入しないといけないなら、僕は魔法世界の文字はかけないぞ、と思っていたところだから、クロノさんが先に登録してくれててほっ、としていた。身なりは子どもでも、精神年齢は段違いなのだ。いくらなんでも出身世界と名前ぐらいは言える。
隣で立っていたなのはちゃんに声をかけると、二人揃って僕たちは受付のお姉さんに近づく。
「あら、いらっしゃい。出身世界と名前を教えてもらえるかしら?」
「第九十七管理外世界出身の蔵元翔太です」
僕が近づくと受付のお姉さんは、僕に気づき、僕が何か口を開くよりも早く先手を取られるような形で誘導された。受付嬢は二人いたため、僕となのはちゃんはそれぞれ別れて受付をしている。
僕たちの世界なら、名簿か何かを取り出して、蛍光ペンなどでマークをつけるような場面で、さすが、魔法世界というべきだろうか。虚空に浮かんだコンソール上でパソコンでも操作するように受付のお姉さんの指が踊る。見慣れない文字も踊り、その結果、僕の顔写真が出てきて履歴書のように表示される。当然、文字が読めるはずもないが、書いてあるであろうことは大体想像できた。
「蔵元翔太くんね。はい、受付ができたわ。後三十分ぐらいで講義が始まるから、それまでに教室に入ってね」
受付のお姉さんは、僕の首にネームタグのようなものが入ったカードケースを繋いだ紐を首にかけながら、丁寧に時間を教えてくれる。後、三十分もあるということは、思ったよりも早く着いたのだろうか。とりあえず、迷っても大丈夫な時間は確保されているようだった。
「それと、これが今日から使うテキストよ」
そういって、受付のお姉さんが取り出したのは、A4サイズよりも少しだけ大きな手提げ袋だった。お姉さんからそれを受け取るとずしりとした重さを感じる。この感覚は毎日のように感じていたからよく分かった。つまり、教科書のような紙の本である。教本の類が入っているであろう事は容易に想像できた。
しかし、はて? と疑問に思う。ここは、魔法の世界だ。文字通り世界が違う。僕たちの世界でも、海を隔てれば、下手すれば、山を一つ隔てれば、言葉も文化も違う。ならば、世界が違うこの世界は言わずとも文化がまったく違うはずである。幸いにして、言語はなぜか通じるが、文字が異なることは先ほどの受付嬢のモニターを見ればすぐに分かる。
結局、僕が危惧していることは、果たして、僕にこの本が読めるのだろうか、というこ
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