空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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械で待っていた子を差し置いて、機械に手を置く。二人のお姉さんが見守る中、測定が行われる。
だが、やはり結果は同じだったのだろう。三度の目の正直というべきか、あるいは、彼女達はもはや心の中では、そうではないか、と疑惑を持っていたのだろう。だからこそ、驚いたような、やっぱり、というような微妙な表情をしていた。ここに来て、教官もお姉さん達の不審な行動に気づいたようで、どうしたんだ? と近づいてくる。
そして、お姉さん達と同じように計測器に表示された結果を見て、驚いたような表情をし、なのはちゃんと計測器の結果を見比べていた。
教室の目の前で、しかも、時空管理局の大人が三人も固まっていれば、何かあったのではないか、と勘ぐるのは容易だ。教室中の注目がなのはちゃんに集まっているのが分かった。しかも、最後まで一人、淡々と仕事を続けていたお姉さんも、全員の測定が終わったのか、興味深げに三人に近づいてきていた。彼女もまた、今までと同様に計測の結果を見て、口を押さえて驚きを表していた。
「ねえ、まだなの?」
いい加減、待たされるのにも飽きたのだろう。少しだけ、怒気を含んだような声で、静かになのはちゃんが、大人四人に向けて問う。不意を突かれたなのはちゃんの言葉に一瞬、ギクッ、と肩を震わせる大人たちだったが、やがて、顔を見合わせると観念したような表情をして、教官がゆっくりとなのはちゃんの魔力ランクを告げる。
「高町なのはさん、君の魔力ランクは、Sプラスだ」
その声が、発せられた瞬間、教室全体が一気にざわついた。誰も彼もが、「Sプラス?」「誰が?」「あの子らしいぜ」「なんだよ、それっ!?」と、信じられないといったような声を上げている。
その中で、ついていけないのは、僕となのはちゃんだけだ。すごいとは思っていたが、そこまですごいものだったのだろうか。もしかしたら、認識のずれがあったのかもしれない。僕はちょっとだけ感じていたが、なのはちゃんは、周りがざわつく理由がよく分からないのか、まるで不思議なものを見るようにきょとんとしていた。
参ったな、認識のずれが、ここまでとは僕も想像していなかった。
もしも、認識のずれがなければ、なんらかの手があったかもしれないが、もはや後の祭りだ。
午後の実技は荒れなければいいんだけどな、と僕は一人、胸の中に生まれた一抹の不安を感じるのだった。
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