空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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あろう桃色のパジャマに包まれた身体が見え、さらに彼女の両手は僕の左手を包み込むように握られていた。おそらく、向こうの世界だったら、夏真っ只中であり、汗まみれになっていただろう。幸いにして、この部屋は空調が聞いているのか初夏のさわやかな気温ではあるが。
―――っ!! な、なんでっ!?
状況をよく認めたくないのか、なぜか淡々と状況を確認してしまったが、ようやく動き出した頭は、一瞬にして困惑に陥った。どうして、となりになのはちゃんが寝ているのか? そもそも、ここは僕の家ではないのだが。落ち着いて考えなければならないのにいつもとは見慣れない体験というだけで人は、あっさりと混乱してしまう。
ど、どうして、こんな事態になってるんだっけ、と混乱しながらも、何とか作り出した空白スペースで、寝る前に起きたであろう事情を記憶の海から掬い出した。昨日の夜の事実を少しずつ思い出し、思い出しながら後悔していた。どうして、あんなことを言ったんだ、と。
もしも、僕が身体の大きさどおりの精神年齢だったならば何も問題はなかっただろう。単に友達と一緒に寝たいだけだから。三年生という年齢は微妙ではあるが、おおむねセーフであるはずだ。しかしながら、僕は二十歳の大学生だった記憶がある。精神年齢もそのくらいだと自負している。にも関わらず、女の子に「一緒に寝ようか?」なんて誘うなんて。いや、もう僕の体験を思い出すならば、今更なのかもしれないが。
確かによくよく思い出せば、四月のアースラでも一緒に寝た記憶もあるが、それはなのはちゃんからの誘いで、あのときはとても断われるような空気ではなかった。だが、昨日はあのまま恭也さんと一緒に寝てもよかったはずだ。
ぐぉぉぉ、と思わず、昨日自分が言った言葉にもだえながらも、五分程度で何とかその記憶を押さえ込むことに成功していた。後悔したところで、昨日の夜の言葉がなくなるわけではないのだ。時計の針は、戻ることは決してないのだから。それに言の葉というだけあって、口から離れてしまえば、言ってしまった事実はなくならない。
よしっ、と心を落ち着け、思考もクリアになったところで、ふと思った。
―――どっちか起きてくれないかな?
どうやら、僕の起床時間はもう少しだけ延びそうだった。
◇ ◇ ◇
魔法世界二日目。
この日は、母さん、アリシアちゃん、アルフさんとは別行動だ。彼女達は、アリシアちゃんと一緒に病院へ行くことになっている。別に彼女の具合が悪いわけではない。四月の事件のときにアリシアちゃんが記憶喪失になっていることについて調べたいらしい。アリシアちゃんは、僕と一緒に行きたがったが、生憎ながら、魔法世界滞在中は、病院と時空管理局での調書で埋まっているようだ。幸いなこ
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