空白期(無印〜A's)
第二十六話 承
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「んっ……」
閉じた目の上から当たる光のせいで沈んでいた意識が、浮かび上がってくる。おそらく窓から差し込んでくる朝日なのだろう。まだ、少しだけ眠たい頭を必死に動かしながら、瞼を開ける。僕の視界に広がったのは、いつも見慣れた木目の天井ではなく、ホテルかどこかで見られるような天井だった。
「あ、そっか……」
それだけで、僕がこの部屋がいつもの自分の部屋ではなく、クロノさんたちから借りた部屋であることを思い出した。そもそも、最近の僕は、アリシアちゃんと一緒に寝る事が多く、和室で寝るものだから布団がほとんどだ。ベットで寝るなんて久しぶりである。
さて、今は何時だろうか、と自分の携帯に手を伸ばそうとしたところで、手が動かないことに今更ながら気づいた。どうやら、まだ意識がはっきりとしていないようだ。あれ? と思う。まさか、金縛りにあったわけでもないだろう。そもそも、原因は分かっている。片手が動かないことはままあったからだ。原因は隣で寝ているはずのアリシアちゃんが抱きついてくるからだ。最初は驚いたものだが、僕も寝ている間のことだし、アリシアちゃんも寝ている間のことだ。朝起きたときが大変だが、それ以外には害がないので、気にしないことにしている。時々、母さんのほうにも転がっているようだし。
しかしながら、両手が動かないことは初めてだった。
右を見てみる。
いつもは、ツインテールにしている髪の毛も、さすがに寝ているときは解いているのか、金髪が流れるようにベットの上に広がっていた。アリシアちゃんのまだ瞼が閉じられている寝顔をそのまま下に降りていくと僕とお揃いがいい、と紺色の柄違いのパジャマに包まれた肩を通って腕へと降りていく。その腕が絡めているのは、僕の右腕だ。まるで、関節技を極めるようにがっちりとホールドされている。何度か経験があるのだが、これがありえないぐらいに離れない。一度、アルフさんに先に見られたときは、苦笑と一緒に外してもらったこともある。アルフさんが言うには、アリシアちゃんは、戦闘訓練も受けた事があるので、その影響があるかも、と言っていた。プロレスなんかも見ていたこともあって、覚えたのだろう、と。
右手の状況は確認できた。要するにありえない話ではないのだ。
さて、一方、左を見てみる。
そこには、見慣れない顔が広がっていた。アリシアちゃんよりも髪の毛が長いわけではないが、肩よりも少し長い程度に揃えられた髪の毛をいつもは結んでいるのだが、やはり寝ている時には解いているのだろう。アリシアちゃんと同様にベットに天使の輪が広がる栗色の髪の毛がベットに広がっている。その寝顔は何か楽しい夢でも見ているのだろうか、時々笑みが浮かんでいる。そんな彼女の寝顔を下に向けると、なのはちゃんが持ってきたで
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