空白期(無印〜A's)
第二十五話 裏 (アリサ、すずか、なのは)
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から出て行こうとしたため、もう一度問いただすことはできなかった。
先ほどのすずかの態度に不安を覚える。自分が理解できない何かが含まれているような気がして。だが、今はそれを考えている時間はなかった。こうしている間にもすずかは教室の入り口で自分を待っているのだから。たぶん、自分の気のせいだろう、と先ほど感じたものを棚上げして、待ちなさいよっ! と声を上げて、自分の鞄を引っつかんでアリサはすずかの元へと向かった。
すずかと共に下足場へと向かったアリサは、その場で翔太が来るのを待つことにした。いつもなら、他愛もない話に花を咲かせているところだが、先ほど感じた違和感がどうにも会話を楽しませない。結果、無言のまま、壁に背中を預けた状態で、翔太を待つことになってしまった。
考えてみれば、最近のすずかは少し前とは態度が異なる。温泉旅行から帰ってきて以来、休日にすずかと翔太が自分抜きで一緒に遊ぶ機会が多くなっているような気がする。週明けの月曜日に会話の中で最初に聞いたときは仲間はずれにされたようで、酷くショックを受けてしまったものだ。
その後、当然、どうして、自分も誘ってくれなかったのか? とすずかと翔太に詰め寄れば、きょとんとした顔をして、行った場所が図書館だから、と返されるのだから、文句の言いようもない。
確かに、すずかや翔太たちのように本を読むことを趣味にしていないアリサがあんな本に囲まれた場所に行っても面白くない。それどころか、無数の本に囲まれて楽しそうに読みたい本を選別する二人の邪魔をしてしまうだろう。現に一度、すずかと一緒に図書館に行ったときは、すずかがあれもこれも、と選ぶものだから、いつまで選んでるのよっ! と怒ってしまい、困ったような表情で、すずかに切り上げさせてしまった過去もあるのだから。
それを考えると、むむむ、と唸ってしまう。確かに仕方ないかもしれない。理屈の上では納得している。しかし、感情が納得できない。すずかと翔太が二人で出かけているのに、自分だけが誘われないなんて、納得できるはずもない。だから、次は、三人でどこかに出かけようと約束して、その場は解散となっていた。
しかし、その約束はまだ果たされていない。それどころか、先週もすずかは、どうやらまた翔太と一緒に図書館に行ったようである。すずかに言わせれば、読み終わった本を返すため、ということらしい。翔太がそれに加わったのは、誘ってみたところ、翔太も本を読み終わっていたからだ、と。筋は通っている、通っているが、どこか釈然としない。
隣でどこか、ワクワクしながら嬉しそうに待つ親友が考えている事が、最近分からないアリサだった。
さて、待つこと十分程度だろうか、すっかり放課後の時間を過ぎてしまった人気のない廊下を職員室のほうから歩いてくる人
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