空白期(無印〜A's)
第二十四話 裏 (エイミィ、ユーノ、アリサ、すずか、なのは)
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、母親である梓と一緒に夕食を食べていた。
彼女の機嫌がいい理由は、明白だった。今日は、4月に入ってからは休止されていた翔太との英会話教室が開かれていたからだ。一ヶ月ぶりともなると翔太も、思い出すまでに少し時間が必要な様子ではあったが、慣れてくれば、休止する前と同じような光景が繰り広げられることとなっていた。
久しぶりに二人だけの英会話教室にアリサが心躍らないわけがない。なぜなら、それはアリサにとって翔太との絆のようなものだから。もっとも、それはアリサにとって翔太から塾の宿題等を教えてもらっている御礼の意味もあったのだが。そして、英会話教室の中で聞いたのだが、来週から塾にも復帰するようだ。
だんだんと一ヶ月前と同じような状況が戻ってきたため、アリサは内心かなり喜んでいた。
それに最近は、もう一人の親友であるすずかも翔太ばかりを気にすることもなくなってきたようで、アリサとも前のように話をするようになっていた。すべてが歯車がかみ合ったように上手く回っているようで、それが、アリサの機嫌のよさにさらに拍車をかけていた。
「アリサ、ずいぶんご機嫌な様子だけど、何かあったの?」
「別に何もないよ」
にこにこといつもの二割増しほどの笑顔で晩御飯を食べているのが気になったのか、梓が尋ねるが、なんでもないようにアリサは否定する。そう、アリサにとってこの状況は特別なことではないのだ。むしろ、一ヶ月前までの状況こそが特別だった。翔太がいて、すずかがいる一ヶ月以上前のことこそがアリサにとっての普通。今は、その普通に戻りかけているだけなのだ。だからこそ、アリサは、別に何もないと答える。
しかしながら、当然、梓はアリサの言い分を信じていなかった。目は口ほどにものを言う、とでもいうのだろうか。アリサの笑顔は、隠しきれない喜びを示しており、何もなかったなどといわれても信じられる要素はどこにもなかった。しかし、子どもが親に対して隠し事をするなど当たり前のことだ。嬉しいことであれば、語りたがる子どももいるかもしれないが。
だからこそ、梓の興味は、別のところへと移った。つまり、アリサの胸元で輝くアクセサリーに。
「あら? アリサ、それどうしたの?」
少なくとも梓が買ってあげた記憶はない。アリサが買うアクセサリーは、梓と一緒に買い物へ行ったときに買うものがほとんどであり、梓が見たことがないアクセサリーはないはずだった。だが、目の前にその例外があった。今気づいたのだが、気づいてみれば、最近はそればかりつけているように思える。
梓から指摘されたアリサは嬉しそうにへへへ、と笑う。その表情には、話したくてしかたながないという意図が簡単に見て取れる。
「あのね、温泉に行ったときにショウからプレゼントしてもらったんだ
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