空白期(無印〜A's)
第二十四話 裏 (エイミィ、ユーノ、アリサ、すずか、なのは)
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ずかが翔太と仲良くしようとしたとき、アリサが妨害する様子は見えなかった。普通、恋人である翔太に他の女の子が近づこうとすれば、忌避するものではないのだろうか。少なくとも本にはそう書いてあった。あるいは、それはアリサの余裕だったのだろうか、翔太が絶対に自分と仲良くすることはないという。
そのことが知りたくて、むしろ翔太よりもアリサに話しかける機会が多くなり、前と同じようにアリサに話しかけるようになったのは何とも皮肉な話だ。
しかし、アリサと話せば話すほどに訳が分からない。翔太との関係を探ろうとしてもまったく分からない。傍から見ても友達同士のように思える。一体、どういうことなんだろうか?
「ふぅ……」
翔太とアリサの関係がわからなくて、あのときの光景が頭から離れなくて、そして、何よりも自分の感情が分からなくて、それらの不安に押しつぶされそうになってすずかは一人、大きくため息を吐いてしまうのだった。
「あら、大きなため息はいてどうしたの?」
そんな様子を見かねたのだろうか。晩御飯を食べた後、自室に戻っていたはずの姉の忍がリビングへとやってきた。ノエル〜、私のも紅茶、というとすずかの対面に腰掛ける。彼女の表情は、すずかの表情とは対照的にこの世のすべてが楽しいと言わんばかりに満面の笑みを浮かべていた。
「お姉ちゃんは、楽しそうだね」
すずかにしては、珍しい嫌味だった。いや、それは親類に対する甘えなのかもしれない。何もかも分からないというのは、不安なのだ。不安が長くなればなるほど蓄積される。心の中に黒いものが沸々とドロドロと溜まっている。だが、そんな嫌味が通じないほどに忍は、舞い上がっていたのだろう。あはは、と笑うと忍が上機嫌な理由を語りだした。
「実は、恭也と付き合うことになりましたっ!」
一瞬、すずかは、忍が言っている意味が分からなかった。
―――付き合う? お姉ちゃんが? その前に、恭也さんって誰?
忍はそんなすずかの混乱には気づかないように、そのときの様子を話していた。しかし、その話は、混乱中のすずかには右から左へと通り抜けるものであり、殆どが記憶に残ることはなかった。しかし、やがて、混乱も収まってきて、冷静に考えられるようになるとすずかは一つの答えにたどり着いた。
「―――お姉ちゃん」
「ん? 何かしら?」
「キスってもうしたことあるの?」
そう、すずかのたどり着いた答えとは、そこだ。付き合うという表現が、恋仲になるということぐらいは、さすがにすずかも知っている。そして、恋仲であれば、キスをした事があるのではないだろうか、と考えたのだ。そう、あの夜の翔太とアリサのように。ならば、その忍から何か聞ければ、自分の不安に何か答えてくれるのではないだろうか、
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