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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十四話 (蔵元家、幼馴染、男友人、担任)
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すれば、なれないものは何もないだろう。

 だが、それだけだ。彼がノーベル賞を取れるか? と聞かれれば取れると自信を持って言うことはできない。なぜなら、天才は既存の概念を壊すことができるが、秀才は学び取ることしかできないからだ。今の翔太は、学校の問題やテストに関して答えられるというだけである。自分の息子が本当に天才か、どうか分かるとすれば、それは十年以上先の大学で自分の研究を始めたときや社会に出てからだろう。

 もしかしたら、翔太はその前に自分に向けられる重圧に潰れてしまうかもしれない。十年後、昔、僕は天才だったんだ、と過去の栄光に縋るかもしれない。そんなときに支えたり、現実を見ろ、と殴り飛ばすのが父親としての自分の役目だと宗太は思っている。

「ん? どうかした?」

 どうやらぼんやりとしすぎてしまったらしい。息子に怪訝な顔で見られてしまった。確かに朝のリビングで、朝食を食べる姿を父親からじっと見られるのは気分がいいものではないだろう。もしも、自分が父親から見られたら、有無を言わず殴り飛ばしてしまいそうなぐらいだ。

「いや、なんでもないさ」

 誤魔化すようにそういうと、自分の指定席になっているリビングのテーブルの位置に座る。少し考え事をしていた時間はトーストが焼きあがるのに十分な時間だったのだろうか、座ると同時に横から皿の上に差し出されたのは、焼きあがったばかりのトーストだ。

「ありがとう」

「いえいえ、毎朝のことだから」

 自分も食べている途中だろうに、と思いながら中座して自分のトーストを焼いてくれた妻に感謝しながら宗太は手を合わせて、いただきます、といった後に焼きたてのトーストに手を伸ばした。妻と子ども三人を養う大黒柱として、今日も一日しっかりと働くために。



  ◇  ◇  ◇



 蔵元翔太の母親である蔵元翔子が朝、目覚めて最初に目にするのは、二人の息子と最近できた新しい二人の娘の寝顔だ。一番下の息子である秋人はまだ柵がついているベッドですやすやと寝ている。次女であるアリシアは長男の翔太がよほど好きなのだろうか。抱き枕のように彼に抱きついている。五月のゴールデンウィークが終わったばかりのまだ春を匂わせる季節とはいえ、さすがに体温の高い子どもに抱きつかれるのは、暑いのか、少しだけ翔太は寝苦しそうな表情をしていた。そして、一番最後に長女(?)とも言うべきアルフは、まるで自分は関係ない、といわんばかりに少し離れた場所で手足を投げ出して寝入っていた。

 ここ数日、毎朝の日常となっている光景に少しばかり苦笑すると、彼らの朝食を作るために翔子は、ゆっくりと起き上がった。

 朝は戦争だ、といったのは誰だっただろうか。朝食を作り―――とは言ってもトーストだが―――自身も朝食を食べる
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