第七十三話 バルマー司令官マーグ
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てくれて」
「君の心に」
「そう、そして地球を救えって」
「馬鹿な、地球を」
それを聞いたマーグの顔が変わった。
「何故私が地球を」
「兄さんは忘れたのかい?そして地球で俺と戦って」
「さっきも言ったが君と出会ったのはここがはじめてだ」
「違う、前にも会っているんだ」
「何処でだ」
「中央アジアで。そしてその時もゴッドマーズに乗っていたじゃないか」
「この機体に」
それを聞いて今度は狼狽の色も顔に浮かんできた。
「それは・・・・・・」
「全然覚えていないのか、兄さん」
タケルはまた問うた。
「何もかも」
「覚えるも何も・・・・・・うっ」
「洗脳ね」
ヴィレッタがタケルとマーグの話を見て呟いた。
「そうだな」
イングラムもそれに頷く。
「マーグは洗脳されている。バルマーによって」
「またかよ」
リュウセイはそれを聞いて吐き捨てるようにして言った。
「相変わらず。ひでえ奴等だ」
「戦いには時として私情が邪魔になる時がある」
イングラムは静かにこう返した。
「特にバルマーの様な国家には、だ。マーグは特に優し過ぎる」
「そうね。それは軍人としては致命的になりかねないわ。それにマーグは霊帝にも否定的だったし」
「だから洗脳が施されたのですね」
「そういうことだ」
イングラムがアヤに答えた。
「反抗する者には容赦はしない、それがバルマーだ」
「チッ、結局それかよ」
「マーグもまた然り、だ。だが」
イングラムは言葉を続けた。
「そのバルマーとて完全ではないのだ。だからこそ俺も背くことができた」
「教官も」
「ユーゼスを倒し、今ここにいることが何よりの証拠だ。そして」
タケルを見据える。
「彼もまた。それに気付くか」
「兄さん」
タケルはマーグに訴え続けていた。
「何度言ってもわからないのか」
「一体何を」
マーグの顔に戸惑いが見られてきた。
「わかるというのだ。君は何が言いたいのだ」
「何度も言ってるだろ、忘れてしまったのかって」
「忘れる。どういうことだ」
「俺にゴッドーマーズを教えてくれたことと。戦いの後わかり合えたことも」
「だから何度も言っている」
マーグはまだ言う。
「私と君は兄弟などでは」
「違う!」
タケルは叫んだ。
「兄さんは騙されているんだ」
「何っ」
「バルマーに。兄さんは本当はバルマーにいちゃいけないんだ」
「どういうことだ」
「だからこそゴッドマーズを。そして俺を」
「・・・・・・くっ」
そこまで聞いてマーグは頭を押えた。
「頭が」
「兄さん!?」
「頭が・・・・・・。どういうことだ」
「洗脳が弱ってきたな」
イングラムはそれを見て言った。
「だがまだまだだ」
「それだけバルマーの洗脳が強いということですね」
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