第七十話 ネリー=リバイラル
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を成す為だろうし」
運命論を述べる。
「こんなこともあるかも・・・・・・。そう思っていたわ」
思いながら言う。その声はさらに澄んできたように思えた。
「リバイバルを見たから?」
ヒメがそんな彼女に問う。
「それはそう」
「ネリー・・・・・・」
勇達はそれを聞いてネリーの心に触れたような気持ちになった。その時だった。
不意にユウ=ブレンが動きはじめた。だがネリーがそれを制止した。
「まだ駄目よ、動いちゃ」
彼女は言う。
「もう少し。傷を癒して」
「・・・・・・・・・」
その声が聞こえたのであろうか。ユウ=ブレンは動きを止めた。ネリーはそれを見て微笑んだ。
「そうよ、いい子」
そして勇に対して言う。
「ブレンに好かれているのね」
「そうだね」
今のことでそれがわかった。
「あいつは・・・・・・俺のことが好きなんだ」
「ええ」
ネリーはその言葉に頷いた。
「そして私のブレンも貴方のことが好きみたい」
「俺のことを」
「そうよ。貴方・・・・・・ブレンに好かれるのね」
「そうなのかな」
そう言われても今一つまだ確信が持てなかった。
「それは嬉しいけれど」
まだ戸惑いがあった
「けれどネリーはすぐだったんだろう?凄いよ」
「私は普通よ」
しかし彼女は首を横に振る。
「何の力もない女よ」
「いや、それは」
「いえ、本当のことよ。ただ・・・・・・ブレンと出会えただけ」
「そうなんだ」
「そうよ。それだけ」
「後悔しているの?」
ネリーの言葉の中に悲しみを読み取った。だからこう問うた。
「いえ、違うわ」
だが彼女はそれも否定する。
「逆よ、後悔なんか」
彼女は言う。
「私は可哀想だと思ってるの」
「ブレンが?」
「ええ。精一杯遊んであげられないから。この子が望んでいるように」
「そうなの」
「私はこの子の持っているものを全部引き出すことはできないの。残念だけれど」
そうした意味での悲しさであった。
「でも勇」
そして勇に顔を向けてきた。
「貴方ならできるかも知れないわ」
「ネリー・・・・・・」
「この子のリバイバルに立ち会った時に私は命がなくなる筈だったの。けれど元気になったわ。けれど・・・・・・」
「とてもそんな感じには見えないけれど」
オザワが彼女に言う。
「細胞を蝕む病気は一杯あるわ」
「そうか」
これ以上は聞けなかった。
「それに・・・・・・私がこの子に出会えたのは偶然じゃないから」
「偶然じゃない」
「最期に一人だけじゃないっていう神様の采配だから」
「そうなんだ」
「家族の人には知らせてないの?」
ヒメが彼女に尋ねる。
「そのこと」
「家族には黙って出て来たの」
これがネリーの返答であった。
「悲しませることになるから・・・・・
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