第六十三話 謎の少女
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からよい」
「は、はい」
ミネバは兵士達をそう言って制した。
「それでじゃ」
彼女は次にリィナ達に顔を向けて来た。
「その方等の名は何というのじゃ?」
「私達の名前?」
「そうじゃ。よかったら申してみよ」
「ええと」
彼女達は戸惑いながらもそれに答えた。
「リィナ。リィナ=アーシタよ」
「リィナか」
「ええ。宜しく」
「よい名じゃな。気に入ったぞ」
「有り難う」
「そしてそこの少年は何というのじゃ」
今度はケン太に顔を向けて来た。
「ケン太」
彼は名乗った。
「真田ケン太っていうんだよ」
「ケン太か。日本人じゃな」
「あれ、わかるの?」
「私とて名前で何処の者か位はおおよそわかる。リィナは少しわかりにくいがな」
「私は一応日系人よ」
「そうなのか」
「ええ。わかりにくいでしょうけれど」
「顔を見れば。そう見えぬこともないな。じゃが綺麗な顔をしている」
「綺麗な顔って」
そう言われて少し照れた。
「よい父君と母君を持っておる様じゃな。そんなに綺麗な顔を与えてくれて」
「ま、まあそうかな」
「私も。よい父君と母君だったが」
そう言って寂しそうな顔になった。
「もうおられぬ。この前の戦争で御二人共亡くなられてしまった」
「そうだったわね」
リィナはそれを聞いて彼女も寂しい顔になった。
「バルマー戦役で」
「父上は立派な方だったという。敵に決して背を見せなかったそうじゃな」
「それは本当のことよ」
リィナは言った。
「ソロモンでね。最後まで立派に戦われたわ」
「うむ」
敵ではあった。だがリィナはあえて言った。ミネバをおもんばかってのことである。
「それは聞いておる。父上は立派な方だった。それさえわかればいい」
「そう」
「母上は非常にお優しい方だった。私は父上の勇気と母上の優しさをいつも覚えておきたいと考えている」
「ミネバさんも僕達と同じなんだも」
「同じ」
ミネバはクマゾーの言葉にキョトンとした。
「同じと申すと」
「お父さんとお母さんがいないも。僕達だってそうだも」
「そなた達もか」
「うん。僕達お父さんもお母さんもいないんだ。だから孤児院にいるんだ」
ユキオが答えた。
「そうじゃったのか」
ミネバはその言葉を聞いて悲しい顔になった。
「そなた達も父君と母君がおらぬのか」
「けれど寂しくはないよ」
アカリが言った。
「皆いつも一緒だから。今でもね」
「そうなのか。それはよいな」
ミネバはそれを聞いてどうやらホッとしたようであった。
「側に誰かがいてくれると。寂しくないわよ」
「私も。ハマーンが側にいてくれるからな、いつも」
「ハマーンさんが好きなのね」
「うむ」
またリィナの言葉に頷いた。
「好き
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