第六十三話 謎の少女
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った。そして強大なソ連に対して敢然と反旗を翻し国を保った。ユーゴスラビアは彼の指導の下国家として歩んでいた。だがこの国はあくまでチトーによってのみ支えられたいた。二つの文字、三つの宗教、四つの言語、五つの共和国、六つの民族、七つの国家、八つの国境・・・・・・。それが全て一人のチトーによって支えられていたのだ。一人の英雄によって。
チトーが死ねばどうなるか、もうわかっていた。そしてチトーが死に剥き出しの民族感情が露わになった。その結果また多くの血が流れた。それに周辺国家、そして大国が介入した。これがバルカン半島の歴史であった。ハマーンもそれを知っていたのだ。
「厄介なことになるな」
「はい。既にドレイク軍の一部隊が駐留をはじめております」
「一部隊が」
「ドレイク軍の中にも色々とあるようでして」
情報部の男は話を続ける。
「ドレイク=ルフトとクの国の国王であるビショット=ハッタ、そしてかって地上にいたショット=ウェポンの三人に分かれているようなのです」
「派閥争いというわけか」
「言い換えると権力闘争になります。そしてティターンズとも水面下では何かと鍔迫り合いがあるようです」
「当然だな。所詮は同床異夢は」
ハマーンは一言で済ませた。
「ティターンズとてジュピトリアンやクロスボーン=バンガードを抱えている。決して一枚岩ではない」
「はい」
「我等とて同じだがな。火星の後継者達と組んでいる」
「ですな。結局は同じかと」
「だがそれもまた政治だ。利害の為ならば誰とでも手を組むのがな」
ハマーンはまたしても言い捨てた。
「何処も同じだ。そうした意味ではな」
「はい」
「だがティターンズとドレイク軍のそれは覚えておこう。何かに使える」
「調略ですか」
「考えてはいる。特にシロッコだ」
「かってジュピトリアン、そしてバルマーにいたあの男ですか」
「そうだ。何かに使えるかも知れん。引き続き彼等への情報収集を続けてくれ」
「わかりました。それでは」
「うむ、頼む」
こうしてティターンズ及びネオ=ジオンへの話は終わった。だが話はそれで終わりではなかった。ハマーンは今度は参謀達に顔を向けた。
「ミネバ様はどうされているか」
彼女は問うた。
「はっ、既にダカールを離れられこちらに向かっておられます」
「御無事なのだな」
「オウギュスト=ギダンも一緒です。心配はありません」
「そうか。ならいい」
ハマーンはそれを聞いてまずは安心した。だが言葉は続けた。
「オウギュストに伝えよ。マシュマーの部隊と合流せよとな」
「マシュマーの部隊と」
「そうだ。そしてミネバ様をマシュマーに任せて自身はグレミーの部隊に入るように言え。よいな」
「グレミーの部隊に」
参謀達はそれを聞いて眉を顰めさせた。
「何
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