第六十三話 謎の少女
[16/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
つけてね」
「はい」
「マスターガンダムにも匹敵する機動性だけれど。あれはそれだけじゃないからね」
「確かに」
「まあ彼はドモン君達に任せよう。君は」
「北辰衆を」
「頼んだよ」
「わかりました」
アキトも次の戦いに対して意を決した。戦いは果てしなく続く。
それはロンド=ベルだけではなかった。カルタゴに向けて兵を退けるネオ=ジオンもまた同じであった。
「ギリシア軍に異変がか」
「はい」
ハマーンはグワダンの艦橋において情報部からの話を聞いていた。そしてそれに顔を向けていた。
「どうなっているのだ」
「どうやら強力な指導者を得た様です。彼等はそれに心酔しているとのことです」
「強力な指導者だと」
「はい。ジェリル=クチビです」
情報部の男はその指導者の名を告げた。
「ジェリル=クチビ」
「ドレイク軍の聖戦士の一人です。今はティターンズと協力関係にありますが」
「その聖戦士が何故ギリシア軍を掌握したのだ?」
「詳しいことはわかりませんが。ですが今ギリシア軍が彼女の下にあるのは確かです」
「連邦軍を裏切ってか」
「そうです。その結果ギリシアは自動的にティターンズ及びドレイク軍の勢力圏となりました。彼等はこれを機にバルカン半島に積極的に進出しているとのことです」
「バルカン・・・・・・火薬庫にか」
「はい」
十九世紀、いやそれ以前からバルカン半島は火種の絶えない地域であった。ローマ帝国が征服したのを皮切りとしてビザンツ帝国やオスマン=トルコといった大国がここを勢力圏としてきた。その際複雑に入り組んだ民族を利用して互いに争わせるといった統治もあった。またトランシルバニアのドラキュラ公の様に苛烈な人物も多く、血の匂いが絶えることもなかった。そしてオスマン=トルコが衰えるとここにロシアとオーストリアがやって来た。汎ゲルマン主義を唱えるオーストリアと汎スラブ主義を唱えるロシアはそれぞれ民族感情を煽った。結果として第一次世界大戦が起こったことは歴史においてあまりにも有名である。その結果欧州の衰退が始まったと言っても過言ではない。民族主義は欧州という巨大な文明をも衰退に導いたのであった。
だが戦乱はそれで終わりではなかった。第二次世界大戦になるとナチス=ドイツが来た。彼等もまた民族主義を煽り狡猾な統治に乗り出した。だがそれは一人の男によって阻まれた。
その男の名はチトー。『君はあれを』という命令から取られた仇名を持つこの男はその卓越した組織力と統率力によりナチスに反旗を翻したのであった。その巧みなパルチザン戦術によりナチスは終始翻弄された。彼は本物であった。白頭山に篭り白馬に乗って戦ったと自称する強盗とは全く違っていた。彼は真の意味での英雄であった。
第二次世界大戦が終わると彼はユーゴスラビアの大統領とな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ