第六十一話 砂漠の狼
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いた。
「見事だ。敵は誰だ」
そう言いながらデザートザクのエンブレムを見る。肩に青い狼が描かれていた。
「ロンメル大佐。彼がか」
「GP−01.バニング大尉か」
ロンメルもまた相手が誰かわかった。
「どうやら戦いがいのある相手のようだな」
「お互い一年戦争からの生き残りというわけか」
両者は呟き合った。
「ならば容赦はいらないな」
「手加減をした方が負けだ。ならば」
そう言いながら互いに間合いをとる。
「この一撃で決める」
「二撃目はないな」
ビームライフル、ザクマシンガンを構えた。そして撃つ。
撃つと同時に動いた。攻撃をかわす為だ。だがここで皮肉な結果が生じてしまった。
デザートザクの動きが一瞬だが遅かった。やはり性能差が出てしまった。それによりビームがロンメルのデザートザクを貫いてしまった。
そして果てた。攻撃はこれで終わりであった。ロンメルのデザートザクはガクリと砂漠に膝を落としてしまった。
「ロンメル殿!」
マシュマーが彼に気付き慌てて駆け寄ろうとする。ジュドーとの勝負を捨ててまで。
「いや、いい」
だがロンメルは彼を退けた。血が垂れた口で語る。
「勝敗は戦の常。これもまた運命だ」
「しかし」
「マシュマー=セロといったな」
「はい」
「貴殿のような若い者がジオンの志を知っている。わしはそれだけで満足だ」
「ですが」
「わしは亡霊だった。亡霊は消え去る運命」
「・・・・・・・・・」
「ただそれだけのことだ。後は貴殿等に任せたい」
見れば青の部隊はほぼ壊滅していた。残っているのはネオ=ジオンの新鋭モビルスーツだけである。それが全てを物語っていた。
「さらばだ。後は任せた」
「ロンメル殿」
「ジオンの大義」
「はい」
「そしてミネバ様を。宜しくな」
「わかりました。このマシュマー=セロ、命にかえても」
「・・・・・・・・・」
その後ろではグレミーが黙ってそのやりとりを見ていた。彼は一言も発しはしない。
ロンメルのデザートザクが爆発した。そして全ては終わった。青の部隊は砂漠に散ってしまった。
「これからどうしますか」
「こうなってしまっては止むを得まい」
マシュマーはグレミーに対して言った。
「一時撤退だ。そしてロンメル殿達の墓標を築くぞ」
「わかりました。それでは」
「だがダカールには向かう」
それでもマシュマーは言った。
「それが。ロンメル殿の意志、そしてジオンの大義だからな」
「ジオンの大義」
「貴官もそれはわかっていよう」
「勿論です」
当然のように頷く。だがその顔には何故か純粋なものはなかった。何処かギレン=ザビを思わせる企んだものが感じられるものであった。マシュマーはそれに気付きはしなかったが。
「では退くぞ
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