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故郷は青き星
第十話
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ャンは気付く。この後どんな話が続いたとしても告白に繋がるような話題や雰囲気に持っていくのは、冷静に考えてみれば自分には無理だと分かる。つまり逆に今この瞬間を逃せば、この後に何年の時を費やしても、何度も会って話をしようが告白なんて無理なのだった。
「……でも、でも僕は…………」
 前に進むしかない。それが分かっていても続きの言葉が出てこない。最後の踏ん切りがつかない。一か八かで思い切って口にするにはエルシャンは彼女に本気になりすぎていた。

 一方ウークには、この短い間に目の前で何が起きたのかまったく把握出来なかった。
 兄の事を胸を張って自慢したら、いつの間にか兄は耳を伏せ背中を丸め尻尾も丸めて、まるで負け犬状態だった。何を言ってるか自分でも分からないが、ともかくこのままでは駄目だと、どうしたら良いのか分からないが何かしなければと思った。
「……兄ちゃん。頑張れ!」
 だがウークに出来たのは応援の言葉を口にする事だけだった。
 しかし、その一言がエルシャンの迷いで出来た心の中の堤防を決壊させる最後の一滴の水となる。
「でも、でも僕は……僕は本気です。僕は本気で貴方の事が好きだ!」
 断崖絶壁の縁で、後ろからトンと背中を押されたら重力に従って落ちるしかない様に、ウークの言葉に背中を押されたエルシャンの口から自然に告白の言葉が口を突いて出た。

「えっ?」
 思いがけない返答にネヴィラは一瞬呆然とし、次の瞬間顔を真っ赤にするという、見た目に反した初心な反応を示す。
 ネヴィラ・コリーは高等教育過程を終了後、3年制の教員教育過程に進み、その後1年間の研修を経て教員になったばかりの19歳。まだ20歳にもなっていないのだがフルント社会においては女として年増と呼ばれる時期であり婚期を逃しつつある年齢だった。
 高等教育過程を終えてパイロットなどの軍関係に進んだ男女の多くが15歳で結婚し、更にフルント社会全体が結婚・出産を奨励し支援する体制が整っているため18歳までの結婚率は実に8割りに迫るとはいえ、20歳を超えて未婚というのは多くは無いが取り立てて珍しいと言うほどでもない。
 だが彼女の心の中には結婚の2文字は存在しなかった。決して異性に嫌悪感を持っているわけでも、結婚という制度に疑問を持っているわけでもない。単純に男性から異性として見られない事による諦めの結果だった。
 化粧したりおしゃれに気を使ってる様子も無いのに関わらず、誰から見ても美人と判断される容貌。男前なくらいにさっぱりしているが周囲への細やかな気遣いも出来る性格。頭の回転も速く身体能力も高い。一見スペックを並べ立てるともてない筈が無いのだが、彼女はシルバ族としての致命的な問題点を抱えていた。
 身長である。彼女の身長は190cmに迫るほどで、成人男子の平均が170cm台
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