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故郷は青き星
第十話
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エルシャンの3人で所有し、筆頭株主で社長はユーシンが勤める。
「うん。兄ちゃん凄いよ! みんな兄ちゃんが考えたんだから」
 ネヴィラに撫でられて思わず鼻を「きゅ〜ん、きゅ〜ん」と鳴らしそうなったエルシャンの代わりにウークが答える。
「エルシャン君がかい?」
「うん。カレーも兄ちゃんが最初に作ったんだよ!」
 自慢の兄を、大好きな先生に自慢出来る喜びにウークは頬を紅潮させながら答える。
「カレー? あのカレーを? 君が? 本当か!」
 目の色を変えてエルシャンの肩を掴み、鼻と鼻がぶつかりそうになるほど顔を寄せて尋ねるネヴィラ。
「は、はい。確かにベーシック・カレースパイスは僕が調合しました」
 エルシャンが6つのスパイスを調合して作ったカレー用ミックススパイスは、単純だがはっきりとしたカレーの味わいが楽しめるベーシック・カレースパイスお手ごろな価格で、ユーシンが18種類のスパイスを駆使して完成させた。芸術的ともいえる複雑なスパイスの調和が楽しめるプレミアム・カレースパイスとしてお値打ちな価格で、ラッシー食品より絶賛発売中であった。

 ネヴィラは飯マズのフルント社会においても、特に残念な料理しか作れないある意味エリート料理人だったので、2年前のラッシー食品の起業と同時に発売された冷凍食品シリーズには「こんな美味しいものが今まであっただろうかいや無い!」と感激したり、熱湯を注いで3分で食べられるカップ麺という新しい食品形態には「これに出会う為に私は生まれてきたんだ」と自分の生まれた意味を勘違いしてみたりと、すっかりラッシー食品の商品にはまり込んだ挙句に、ラッシー食品の経営するレストランチェーンが出店されたと知ると、わざわざ遠く離れた街まで三日に一度のペースで通うようになり、そこで出会ったカレーライス──結局、稲に相当する作物は発見できなかったため、澱粉と蛋白質を主原料に食味・食感・形状をご飯そっくりに加工した食品を開発しライスと命名して商品化した──に「神はこの皿の中に居た」と感極まり涙を流したほどだったので、開発者を目の前にしてちょっとテンションがおかしくなると叫んでしまう。
「好きだ! 愛してる!!」
「……はい、僕もです」
 エルシャンは何がどうして結婚に結びついたのか分からないが反射的にそう答えていた。
「あっ…………いや、じょ、冗談だよ」
 顔を赤くしながらネヴィラは慌てて言い繕う。
「えっ、ああ、そうですよね……はっはっはっはぁ」
「君も咄嗟に冗談で返すなんてやるね」
 思いもよらなかったネヴィラからの告白に応じて『ああ漫画のようなご都合主義な展開って普通にあるんだ』と頭の中が、既にめでたい結婚式会場になっていたエルシャンは、一瞬の内に天国から地獄に落とされた気分だった。

 だが今がチャンスである事にエルシ
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