第15話 冥犬パスカル(2)
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かれ少し嬉しいそうな顔をする純吾、そして
「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい」
「ダメダメだね、チミ」
純吾の顔を舐める犬に、血涙が出そうなほどの嫉妬に顔を歪め、呪い殺せそうなほどの視線を向けるリリーに、彼女を馬鹿にしたように呟くモコイ。
そしてその光景に呆れてものも言えないと言った様子のすずかやなのは、ユーノである。
気絶していた女性も去っていた今、彼らはその犬をどうするかについて相談していた。
「ま、この子首輪付けてないみたいだし、いいわ。私の家で飼いましょ」
しかしその相談は呆気なく幕を閉じる。
アリサがあっさり引き取ると宣言したのだ。彼女にしてみれば今まで何度もあったことであり、友人たちの家の事情を鑑みたら、自分が引き取るしかないと考えていた。
「いいの? ……アサリン」
犬を顔から遠ざけ、純吾は期待を込めた目を向ける。それに胸を張ってアリサは答えるが
「えぇ、私の家って結構こんな子を…って! またアサリンって戻ってるし、あんたさっきは名前ちゃんと呼んでくれたのにどうしてまた元に戻ってるのよ!!」
途中また自分の呼び名が戻っている事に気が付き激昂した。しかし
「アサリンの方が、かわいいよ?」
ねぇ、と純吾は抱えている犬に確認。それに対してワンッ! とまるで同意するかのように犬が吠えて答える。
お互いに頷き合った一人と一匹は、得意満面な顔を一緒にアリサへと向けた。
「犬に確認したって駄目に決まってるでしょ。……そ、それに。か、かかかかわいいって。そ、そんな言葉に騙されないんだから! ちゃんとこれからは名前で呼びなさい!!」
一点の曇りのない眼で「かわいい」と言われ、アリサの顔が真っ赤になる。そのまま純吾にお説教をしようとしたが、これ以上話が脱線すると退くt……、時間の無駄だと思ったなのはが割って入った。
「ね、ねぇ。名前って言ったら、この子の名前をどうするの?」
「ん…。じゅんご、じゅんごがいい」
「ワンッ!」
その問いに対して、純吾は嬉しそうに頬をほころばせて犬と顔を突き合わせる。犬の方もそれに答えるかのように、ひと際大きな声で返事をした。
「いや、その名前にすると絶対にあんたたち間違えるからやめなさい」
「そ、そうだよ純吾君。それに、アリサちゃんが飼うんだから、アリサちゃんに決めてもらおうよ」
けれども、純吾の提案を苦笑いを通り越してひきつったような笑みをした2人が必死になってその提案を却下する。
「…残念」と、2人の言い分に従う純吾に、全員がほっとしたのは彼には秘密である。
「じゃあ、どうしようかしら。さっきから純吾の言葉に答えてるみたいだし
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