第15話 冥犬パスカル(2)
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メランがモンスターの巨体に突き刺さる。電撃の影響で満足に動けない体に、鋭く急所にねじり込まれた一撃の与える効果は大きい。
純吾の腰にも及ばないモコイの、30センチにも満たないだろう小さなブーメランはモンスターの体をくの字に持ちあげ、着地の姿勢を取らさぬまま地面に落した。
「レイジングハート!」
『All right. Sealing mode, set up』
モンスターが膝をつき、動きが止まった一瞬のすきをついて、封印魔法をなのはが発動させた。先日見た時と同じような桜色の光の鎖が、モンスターの全身を拘束する。
モンスターはくぐもった低いうなり声をあげ、滅茶苦茶に体を動かし戒めから逃れようとするが、拘束から逃れられず、怒りを込めた4対の目でなのは達を睨みつけることしかできない。
「リリカルマジカル! ジュエルシードシリアル16…封印!」
そして、その声と共に、光がモンスターを覆い、その姿を消してしまった。
桜色の光がソイツと力の源を引き?がし、自分というものが希薄になり、再び作りかえられていくのを感じながら、ソイツは考えた。
――ドウシテ、ワレハチカラヲモトメタノデアッタロウカ?
先程まで怒りに染まり、戦いの事しか考えられなかった思考が嘘のように凪いでいる。
ジュエルシードから受けていた悪影響が、封印魔法を受けた事によって無くなったからであるが、それはソイツの知らぬところである。
確か、人間の街の明るさをみて、そこに近づきたいが為ではなかったか? 人間は強い、だから、力さえあればそこにいてもいいのではないか、と考えたのが初めだったろうか。そう考え、森の中をふらついていたらあの石を見つけ、そして、力を得た。
――シカシ、ケッキョクワレノチカラハトドカナンダ
だがしかし、ソイツは結局目の前の人間に負けてしまった。
それは何故か、怒りから解放された今なら分かる。
この目の前の人間たちは一人一人では自分よりも格段劣るだろうが、それでもお互いに自分の役目をこなし、自分を追い詰めていったのだ。今までずっと一匹で生きてきた自分には出来ない事、そして、居なかった仲間という存在によってもたらされた勝利。
と、そこまで考えて、唐突に悟った。
――アァ、ソウカ。ワレモ、コノニンゲンタチノヨウニ……
最後に自身が見つけた答えに満足しつつ、ソイツの意識は、光の中に溶けていった。
「はぁ…、結局この子どうするのよ」
ジュエルシードを封印した後、神社にはこのようなメンバーが残っていた。すなわち、あきれ顔をするアリサと
「……、ふふっ、くすぐったい」
シードにとりつかれた犬――青と白の毛並みが特徴的なハスキー犬――にじゃれつ
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