第14話 冥犬パスカル(1)
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なりたい、けど、どうしたらいいか分からない。
そんなジレンマを持つ彼女にとって、一度掴んだ友達、それも親友と言っていいなのは達の事は、命を賭けるに値する貴重な存在だった。
そんなアリサの心の内を知ってか知らずか、ふむ、と純吾は目を細めて考える。
内心そわそわしながら、その様子をじっと見ていたアリサだが、やがて彼が口を開き
「ん…。アサリンは、すごいよ?」
「えっ?」
はっきり言って予想外な返答をしてきた純吾の言葉に、アリサは驚きの表情を作った。
「ど、どうしてよ? 私、言っちゃなんだけど本当に何もできないわよ。本当に、迷惑って思ってないの?」
「迷惑じゃないよ? ジュンゴ、アサリンと一緒で嬉しい」
ポンッ、とその言葉を聞いてアリサの顔がトマトみたいに真っ赤になった。手足を震わせ、明らかに動揺した様子で純吾に聞き返す。
「わ、わわわ私と一緒で、う、う、嬉しいって」
「だってアサリン、危ないって分かってるのに、こうやってついて来てくれてる。ジュンゴ、ホントは少し不安だった。だから、アサリンと一緒で嬉しい」
ふにゃっと表情はあまり変えないのに、雰囲気だけを崩すいつもの微笑みでその質問に純吾は答える。
「そ、そうなの。けど、本当に大丈夫なの? あんたが戦ってる時、私、邪魔になるかも知れないし、足引っ張るかも……」
「ん…、だいじょうぶ。ジュンゴ、鍛えてる。それに、たくさん仲魔もいる。
それに、アサリンは友達。ここに来て初めてできた、ジュンゴの大切な友達。
だから――」
――アサリンは、ジュンゴが絶対に守るよ。
そう小さく笑みを浮かべた顔から、真剣な、本当に真剣な顔で言う純吾を直視できずに、アリサは真っ赤なままの顔を俯かせる。
しかし何かを決意したのか、ゆっくりと顔をあげ、その決意を伝えようと口を開いた瞬間
「きゃぁぁぁぁぁぁあああ!!」
絹を裂いたかのような甲高い女性の悲鳴が、2人の遥か上方、神社の方から聞えて来たのだった。
階段を駆け上り、まず目に飛び込んできたのは巨大な犬だった。
小型のトラックほどはあろうか? 先日のモンスターのような、タールのようにどす黒い毛並みを持ち、異常なまでに発達した鋭い爪を持つ四脚。そして、顔には4つの目を持つ獣がそこにいた。
顔にある4つの目はギョロギョロと様々な方向を向いていたが、純吾達に気がついたのか、一斉に鳥居の方を向け、その大地の裂け目の様な口からグルル……と、地の底から響いてくるような低いうなり声をあげた始めた。
「じゅ、純吾。あれが……?」
「ん…。多分、間違いない」
獣の鋭く、不気味な眼光に耐えきれずアリサは純吾の後ろに隠れて問う。純吾
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