第14話 冥犬パスカル(1)
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若干血走り、わきわきと両手を動かすその姿は、今にも獲物に飛びかからんとする獣のようだ。それに対して、こちらも頬を赤くし、リリーを見上げていた視線を下に外して、純吾は本当に恥ずかしそうに答える。
「ん………。はずかしいけど、リ、リリーが、それでいいなら――」
「…………………(ブッハ)」
ふる、ふるふる、プルプルプル……がっし!
「にゃ!」「え? え?」
「いしょっしゃぁぁぁぁぁ! 魔界に生まれてよかったーーー!? まっかせなさいリリーお義姉さんが、絶☆対! あなたたちの安全を保証してあげますからね!! ほら、一刻一秒でも時間が惜しいわ! さっさと何たらシード見つけだして、お家帰るわよーーー!!」
(鼻血が)陽光に照らされきらきらと眩しいとても良い笑顔で、なのはとすずかをひっつかみ、嵐のような勢いでリリーが去っていく。
「にゃあああぁぁぁぁ」「ま、マカラよりはやーーーぃ………」
ドップラー効果を残しつつ、リリーにひかれていくなのはとすずか。
「ん…、じゃあ、行こう?」
「あんたたち、絶対男と女の立場逆だと思うの」
後に残ったのは、まだ頬を赤くした純吾と、額に手を当てて、やれやれと首を振るアリサだけだった。
てくてくと、2人が海鳴市の郊外??神社や森がある方へ歩いている。
「ねぇ」
「ん…。何、アサリン」
「ま、またアサリンって。はぁ、まぁ良いわ。
ねぇ純吾。私、迷惑じゃないかしら?」
前を歩いていた純吾は歩みを止め、首をくるりと後ろに回してアリサを見た。
「どうして?」
「どうしてって…、私、なのはや純吾みたいにどうにかする力はないし、すずかみたいに迷惑をかけないくらいに運動ができるわけじゃないし……。だから、あんたに迷惑かけてるんじゃないかって思って」
後、さっきもリリーさんも渋ってたし、と別チームが向かった方をアリサは見やった。
強引に割り込んできた彼女だが、自分が言った通りの事に対して実のところ不安に思っていたのだ。
昼休みの話を聞く限りでは、ジュエルシードの捜索は命の危険があるかも知れない事である。そのくらいの事は、感情的になっていたあの時でもしっかりと理解している。
そんな事に、何の特別な力もない自分が参加して本当に良かったのだろうか? と思っていたのだ。
それなら初めから関わらなければいい、と思うかもしれないが、彼女は友人がそんな命をかけているのを、傍から見ているだけ、という事は絶対にしたくなかった。
そして何より、自分だけ仲間外れにされるのが嫌だったのだ。
命の危険が十分にありうる、そう分かっていながら子供じみた理由だが、彼女にとってはとても大切なことだ。いっぱい人と仲良く
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