ALO編
六十八話 事態急転
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ョウが一気に地面を蹴った……瞬間、バビュン!と、ズバァン!と言う空気が爆発する音が、同時にリーファの耳にとどろいた。
それまでのペースとは比較にならない……具体的には通勤列車とリニアトレイン(リーファ比)くらいのスピード差は有ろうスピードで駆けだしたリョウとキリトが、凄まじい勢いで洞窟内を駆け抜けていく。余りのスピードに、洞窟の岸壁が流れるように後ろへ向かって流れて行く。だがキリトと、同じ速さで走っているリョウだけがリーファの眼にははっきりとまともに見えるせいで、二人だけが何かの方法で加速しているような、奇妙な感覚さえリーファは覚えた。
「わああああ!!?」
途中オークの群れに見つかろうが、急カーブだろうが関係なし。あちらの攻撃が追いつかないようなスピードで細かい隙間を駆け抜け、あるいは壁を走っていく。
「わぁーーーーーっ」
オーク達の群れには何度か出くわしたが、キリトもリョウもまるで問題にしない。次々に切り抜け、駆け抜ける。彼らがキリト達を追いかけようとしたときには、既にキリト達は次の通路を駆け抜けているのだ。
そうして二分程度(リーファ体感)が過ぎたころ、前方に白い光が見え始めた。
「おっ?出口かな?」
「みてぇだな。このまま?」
「もっち!」
「え、ちょっと、どういう!?ひゃあああ!!?」
しかし出口を確認しつつも、キリトとリョウは速度を落とさない。そうして視界には光が弾けた瞬間、足元からは地面が消えていた。
「ひええええっ!?」
リーファは一瞬何が起こったのか分からなかったらしく、両眼つぶりながら足をバタバタさせている。しかしやがてやっと自分がどこに居るのか気づいたらしく、あわてて翅を広げ、滑空を開始した。そう、リョウとキリト、そしてリーファはどこぞの「行きまーす!」宜しくカタパルト式に洞窟から飛び出し、空の真ん中に居たのだ。ちなみに、後ろのルグルー回廊出口はと言うと、追いかけてきたオーク達でびっしりと埋め尽くされている。
「寿命が縮んだわよ!」
そんな声が聞こえてリョウが振り向くと、楽しそうに背面飛行をしているキリトにリーファが顔を真っ赤にしながら、文句を言っているところだった。
「わはは!時間短縮になったじゃないか」
「だな。普通に行くより遥かに速い速い」
確かに、普通に行くよりは遥かに速かっただろう。所謂また二秒、世界を──やめておく。
そうして、リョウ達は周囲を見渡し始める。一面の草原の中に、蛇行するように流れる川と湖が有る。そしてその先に……
「あっ……」
小さなリーファの声は、果たして敬意から来たものか、あるいは畏怖か。そこに有ったのは、巨大な樹だ。
雲海の向こう、直線で二十キロは離れていよう場所に有る筈なのにもかかわらず、それはすでに圧倒的な存在
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ