ALO編
六十八話 事態急転
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論、シルフ側の情報によって領主がキルされたとなればケットシー側も黙ってはいないだろうから、今後のシルフとケットシーの外交状況は悪くなるだろう。最悪戦争になる事も有りうる。そうなるとシルフは左右両方と敵対関係になるため、完全に孤立するわけだ。逆に同盟を許せば、シルフ+ケットシーとなり、サラマンダーとのパワーバランスが逆転する。要はサラマンダーは、何が何でもこの同盟を回避したいわけである。
そしてリーファの用事というのは勿論、自身の種族であるシルフの領主にこの事を警告しに行くためであった。会談開始時刻である一時までは後三十八分。正直ギリギリだ。
さてそんな話を街を抜け、回廊の中を走りながら聞いたキリトとリョウの反応はと言うと……
「そうなのか……」
「そーなのかー……」
「……おい兄貴?」
「すまん、ふざけた」
「リョウ…………」
ちょっとふざけたりしていた。
まぁそうはいっても一応真面目に話は聞いていたのだが……
「でもまぁ……事情は分かったよ」
「うん……ねぇ、キリト君」
「ん?」
「あのね……これは、シルフ族の問題だから、君達が付きあってくれる必要は……無いんだよ?此処を抜ければアルンまではもうすぐだし、多分会談場まで行ったら生きて帰れない。そうなったら、またスイルベーンからやり直しだから、何時間も無駄になるだろうし──ううん。もっと言うなら……」
更にリーファは続ける。二人の後ろを走るリョウには、隣を走るキリトをうかがうその顔が、悲しげに歪むのがよく分かった。
「君の目的……世界樹の上に行きたいって言う事の為なら、きっとサラマンダーについて行くのが正解だと思う。もしサラマンダーの作戦が成功したら、十分以上の資金を得て世界樹攻略に挑むと思うし、スプリガンなら、きっと傭兵として雇ってもらえる。そのためにもし君が私を此処で斬ったとしても、文句は言わない」
「…………」
キリトは、しばらくの間黙っていた。やがて、ポツリポツリと言葉をこぼす。
「所詮ゲームなんだから何でも有りだ。殺したければ殺すし、奪いたければ奪う……そう言う奴には、嫌になるほど出くわしたよ。きっとそれは有る意味正しいし、俺も昔はそうだった。でも、そうじゃないんだ──仮想世界《こんなせかい》だからこそ、どんなに愚かに見えても、馬鹿みたいでも、守らなきゃいけないものが……そう言うものが、ちゃんとあるんだ。俺はそれを──大事な人に、教わった」
そこでいったん言葉を切ったキリトは、今度はどこかなつかしむように微笑み、続ける。
「VRMMOって言うこのゲームではどうしても矛盾して聞こえるけど、プレイヤーと本当の意味で分離したロールプレイなんて、俺はあり得ないと思うんだ。それが正しいと思えようが間違ってると思えようが、その人が体験した
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