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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
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キリトがアスナの鎖を斬り飛ばしている間に、俺が闇に覆われた空間を破壊したので、鳥籠は元の状態に戻った。

思いの外、時間が経っていたようで辺りは暗い。現実世界ももう夜だろう。


《The Traitor》のアカウントを閉じて、元の姿に戻ると2人が俺を見た。


「……そういやゆっくり話してなかったな。助かったよ、レイ」

「どういたしまして。ま、俺の用事のついでだ。気にするな」


手をひらひら振っておどけてみせるが、2人の表情はどこか浮かない。俺は苦笑しながら頭を掻くと、少し考えてから言う。


「……いろいろ聞きたいのは解る。だけど、今はその時じゃない。いつか必ず話すよ」


やがて、2人が頷くと俺は手を振って、妖精郷から出ていった。








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目を醒ますと、ナーヴギアに繋いでおいたPCの上に何かが置いてあった。


「お目覚めですか」


気配も感じなかった廊下の向こうからやや低めの声が聞こえる。


「……この『保冷枕』……貴方ですか?仙道さん」

「はい。蓮様より乗っけておけ、とのご指示が」

「……………」


まぁ、無いよりはましだったか……。

ギアを外し、廊下に出ると沙良直属の付き人兼護衛である仙道さんが控えていた。


「沙良は?」

「お嬢様は道場にいらっしゃいます。……螢様、お出掛けになるなら私がお供致しますよ?」


沙良がお供してやってくれ、と頼んだのだろう。


「……仙道さん、沙良は俺に出来すぎな妹だと思うんだが、どうかな?」

「確かに、お嬢様は先読みのお得意な方ですからね。さて、どちらへ?」

「そうだな……殴り足りないし……所沢の―――病院で」

「承知しました」


丁寧にお辞儀する仙道を尻目に再び部屋に引っ込むと、外着に着替えPCの電源を落とし、ナーヴギアをひと撫でしてから外へ向かう。

家の門の前にはすでに仙道が車を回して待機していた。

相変わらずの手際の良さに苦笑しながらそれに乗り込んだ。


「……で、何で蓮兄が居るんだ……」

「楽しそうじゃねぇか、俺も混ぜろよ」

「……まぁいいけど」


雪が降り始めた閑散とした道路を一台の車が発進した。







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