暁 ~小説投稿サイト~
蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第24話 ラ・ロシェールへ
[12/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
 但し、彼らの道行きを『旅』と表現して置く事も忘れずに。

 その理由については、現在内戦中のアルビオンに観光目的で魔法衛士隊の騎士が赴く訳がないでしょうが。そんな事は、彼らの目的地が判った段階で瞬時に判断が出来ますから。それを、わざわざ『旅』と表現したのは、相手。主にワルドがどう取るか反応を見たかったから。

 気付かないか。気付かない振りをして、俺の事を警戒するか。

「いや。苦難に遭遇している人間に手を貸すのは正しい騎士の在り様。改めての礼など不要だ。
 しかし、ラ・ロシェールより兵士が派遣され、こちらに近付いている以上、これ以上、我々にはここに留まる理由はないと思うから、先を急ぐ旅ゆえ、失礼させて頂く事は許して頂きたい」

 ワルドはそう答えた。丁寧な言葉使いで、ある程度の好感は持てる雰囲気。
 ただ、俺に対する……と言うか、俺達に対する警戒心のような物は感じます。
 それに、ウカツに名乗るようなマネは流石にしませんでした。一応、王女に依頼された極秘任務中みたいですからね。

 もっとも、それならば、そのド派手な衣装も変えた方が良いとは思うのですが。そのマントを見ただけで、おそらくは大半の人間が魔法衛士隊所属の騎士。それも、グリフォン隊所属だと判ると思いますからね。

 しかし、自らが、何らかの任務中で有ると簡単に公言するのに、俺やタバサ達に対する妙な警戒感。これは、一体、何を意味するのでしょうか。

「いえ。ですが、騎士様を騎士の中の騎士と見込んで、少し不躾では有りますが、御頼みしたき事柄が有るのですが、お聞き届け頂けないでしょうか」

 まぁ、細かい事については良いでしょう。それに、どうせ俺達もラ・ロシェール泊まりになるのは確実。
 ならば……。

「我が主の親友のミス・ツェルプストーを同行させては貰えないでしょうか。我々は兵士たちの到着後に、彼らに証言を行わなければ成りませんが、ミス・ツェルプストーは女性ですし、朝からずっと風竜での旅でお疲れです。出来るだけ早く宿で休ませて上げたいのです」

 俺は、ワルドの傍に立つキュルケの方を見つめてから、そう言う。
 もっとも、キュルケがこの程度の事でダウンするとも思えません。要は、ルイズ一行にキュルケを同行させて、同じ宿にタバサ達の部屋を確保して貰いたいだけなのですが。

 尚、当のキュルケの方は、俺の意図に気付いたのか、何も口を挟もうとはしませんでした。
 このキュルケと言う少女も、かなり頭の回転が速いようですね。ここで、俺の言葉を簡単に否定されて、タバサと一緒に居る、などと言う空気の読めない台詞を言われたらどうしようかと思っていましたけど、そんな心配は無用だったと言う事です。

 ワルドが俺の方を見る。そして、それからタバサの方に視線を移し
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 ~小説投稿サイト~
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ