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蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第24話 ラ・ロシェールへ
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ールの守備隊から盗賊を収容する為の兵もここに向かって来ている」

 ワルド子爵と言う名前の騎士が、ラ・ロシェールから続く街道に複数の松明がこちらに向かって来ているのを確認しながらそう言った。

 えっと、そのワルド子爵の様子はと言うと、中世の騎士の物語に登場するような羽の帽子を少し傾けて頭に被り、口には長い口髭。ただ、雰囲気から察すると、見た目ほどの年齢ではないとは思います。年齢以上に威厳を付ける為の口髭と考えるなら、グリフォン隊の隊長職を遂行する為には必要なアイテムなのかも知れません。
 そして、その黒いマントの両肩の部分には、それぞれグリフォンを象る刺繍が施されています。これは、おそらくグリフォン隊のトレード・マークと言うトコロですか。

「私たちは先を急ぐ必要が有る。今日の所はラ・ロシェールに宿を取って、明日の朝一番の便でアルビオンに渡ろう」

 ワルドは、彼の一行に対してそう告げる。
 同時に、俺の同行者。タバサ、キュルケ、そして、ジョルジュの間に、少し驚いたような雰囲気が発せられた。いや、後一人、ルイズからも同じような気が発せられたな。

 ……成るほど。今の一言で、コイツは見た目ほどの切れ者でない事だけは判りました。
 それと同時に、俺の同行者たちは、このワルド子爵と言う人物の程度を知ったと言う事でも有ります。俺としては頼もしい限りなのですが、同時に敵に回した時に厄介な連中と成る事も表現していますね。

 何故ならば、少なくとも俺ならば、部外者の居る前で、明日の目的を同行者に語る事は有りません。これで、コイツらの目的がアルビオンに有る事は丸わかりでしょう。

 確かに、ここからなら、今夜はラ・ロシェール泊まりになるのは簡単に想像が付きます。しかし、明日、そこから確実にアルビオンに渡るとは限りません。
 ここが街道に繋がっている宿場町なら、其処から先にも街道は繋がっていると言う事ですからね。わざわざ、アルビオン行きをこんなトコロで発表する必要はないでしょう。

 確かに、ルイズ達に取って俺達は友人ですが、彼から見ると初見の相手。まして、アンリエッタ王女から命じられた任務遂行には全く関係ない部外者ですから。
 俺達は。

 残念ながら、アンリエッタ王女の人選は間違っていた、と言う事ですか。それに、この程度の人物がグリフォン隊を指揮していたのでは、いざ戦争となった時に、隊員に死亡者が続出する可能性も有るので、早い段階で本当に指揮能力を持った人間を隊長に据えるか、有能な参謀を付けてやるべきだと思いますね。

「急ぎの旅の途中にも関わらず、我が主の御友人方を護衛して頂き、真に有難うございます。魔法衛士隊の騎士様」

 恭しく。但し、見ようによっては、慇懃無礼に挨拶を行いながら、御礼の言葉を告げる俺。

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