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蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第24話 ラ・ロシェールへ
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、古より飛び続ける悠久の旅人よ。我、武神忍の名と血に於いて汝を召喚する。翼有る竜ワイバーン」

 空中に映し出されたワイバーンを示す印……納章に集まる風の精霊。そして、その精霊が俺の知っているワイバーンの存在する魔界への扉を開く。
 刹那、轟と風が舞った。そう。これは魔界からの風。

 一瞬、その突風に瞳を閉じて仕舞った俺でしたが、再びその瞳を開いた時、その場に現れていたのは……。

「驚いた。本当に、風竜を呼び出せるのね」

 キュルケが本当に驚いたような雰囲気でそう言った。
 ……って言うか、これは俺の自己申告ではなくてタバサの口から出て来た情報ですから、少しぐらい信用してくれても良いとは思うんですけどね。俺に対する信用度は未だ低いとしても、自分の親友の言う事ぐらい信用して下さいよ。

 それに、最初の自己紹介の時に、式神使いだと言って有ると思うのですが……。

「ワイバーン。俺の事が判るか?」

 ただ、今はキュルケのツッコミに対して、ボケを返して居られるような暇な状況でないのも事実ですか。ならば、キュルケに対する愚痴は何処か遠くに放り出して、
 そして、ワイバーンに対して正対し、そう問い掛けてみる俺。ただ、流石にこの場で俺の正体を名乗る訳には行かないので、こう言う曖昧な会話となるのですが。

 ワイバーンがひとつ、大きな声を上げる。但し、その声は威嚇を与える物ではない。
 まぁ、世の東西。更に次元の壁を隔てた世界での召喚なのですが、このワイバーン自身も異界からアストラル・ボディで召喚され、俺の霊力を肉に変えて受肉した翼ある竜です。俺の正体の事も判っていて当然でしょう。

 それで、このワイバーンは三本指の龍。片や俺は五本指の龍。東洋産の龍の例で言うのなら、俺の言う事を、このワイバーンは聞かないはずは有りません。

 俺は、東洋の例で言うなら、龍神クラスの格を持っている存在ですから。
 中国の皇帝が着る服に描かれるのは、五本指の龍です。

「そうしたら、俺と契約を交わして、以後、俺の頼みを聞いてくれるやろうか。
 報酬は、その仕事の度合いによって支払う事になるから」

 その俺の言葉に、再び大きな声で答えるワイバーン。これは、同意の鳴き声。

 尚、俺の式神契約は、すべて対価を払うシステムです。故に、これは仕方ない事なのですが、この世界の使い魔契約と比べると似て非なる物、と言う感じに成りますね。えっと、俺の式神契約が対等な雇用契約とするなら、この世界の使い魔契約は、もっと別の魂に刻まれるタイプの契約と言う感じですか。

 どう考えても、タバサ達の使い魔契約の方が、召喚士に取っては都合の良い契約システムですね。……って言うか、より魔的な契約と言うべきですか。対価の部分に差が有り過ぎて、俺
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