ALO編
六十五話 翡翠と風の街
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世界樹への登頂は事実上“不可能”と言う事でリーファは結んだ。
「まぁ他にも生産スキル上げるとか、クエストを色々やるとか、飛びをするとか楽しみ方は色々あるけど、諦めきれないっていうのが本音だよね……一度飛ぶ事の楽しさを知っちゃうと……何年かかっても、いつかきっと……って思っちゃうよ」
それは、実にリーファらしい意見だと言えた。
おそらく、飛ぶ事が好きな彼女は心の底からどんなに時間をかけてもクリアしたいと思っているのだろう。だが……
「それじゃ、遅すぎるんだ!!」
そんな余裕な感情は、今のキリトには微塵も存在しないのである。
「……落ち着け」
「……ごめん」
不意に押し殺したような声で怒鳴ったキリトに、リョウが低い声で制止をかける。驚いた様子のリーファだったが、キリトが意気消沈したような様子で肩を落とすのを見て、その驚きが困惑に変わる。
「でも俺、どうしても速く世界樹に行かないと……」
「なんで……どうして、そこまで?」
リーファの上げた当然の疑問にキリトは難しい顔をして答える
「人を、探してるんだ……」
「ど、どういう事?」
「簡単には説明できない」
「リョウ……」
「わりぃな。こればっかりはちいと軽々しく言えねぇんだ」
リョウが苦笑して答えるのと同時に、キリトが、フッとリーファに笑顔を向けた。
「ありがとうリーファ。色々教えてもらって、助かった。御馳走様……最初にあったのが、君でよかったよ」
椅子を引いて立ちあがりかけたキリトの腕を、リーファは無意識のうちに掴んでいた。
いつかどこかで見たことがあるような……どうしても放っておく事の出来ない悲壮感を、キリトの眼に見たからだった。
「ちょ、ちょっと待って。世界樹に行く気なの?」
「あぁ。この目で確かめないといけないから……」
「り、リョウ……」
「っとになんつーか、すまねぇな……もともと、そのつもりで来てるからよ」
「でも……無茶だよ……」とリーファは口ごもる。きっと、リョウは見たところかなりの情報を調べているのだろう。それにこの二人は相当強い。戦力的な心配はかなり少ないはずだ。だが、ここでそのまま行かせると、後でずっと後悔するような……そんな奇妙な感覚がリーファの中をめぐる。
「あ、」と思った時には、もう口が動いていた。
「じゃあ──あたしが連れてってあげる!」
「え……」
「おいおい……」
スイルベーンから世界樹のある央都《アルン》までは、かなりの距離がある。
ALOでは高速移動手段である翅がある代わりに瞬間移動の手段は全く存在しないため、飛翔と徒歩で移動するしかない。距離的にも、小旅行に匹敵する十分な“旅”だと言うのに出会ってまだ間もないキリト達に動向すると言いだしたリーファにキリトとリョウは……そして誰より
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