ALO編
六十三話 Link start
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重リング円冠型の機械に気付いた事だろう。
もしも彼にもっと部屋の中に居る時間を直葉が与えて居たなら、天井に張られた大空を一人の妖精が飛ぶという構図のポスターに涼人は気が付いた事だろう。
幾つかの偶然が重なり、涼人は桐ヶ谷直葉に起こっていた幾つかの大きな変化に気付く機会を逃してしまった。他人の気付くべき大きな違いと言うのは案外、日常の些細な場面にこそ潜んでいたりするものであると言うが、今回が正にそのケースである事にも涼人は気付く事が出来なかった。
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「ったく、何してたのか知らんがあの足バタバタはそんなに楽しかったのか?」
「違うってば!!ただ……ただ……何でもない!」
「なんやねんなお前」
涼人の作ったマヨネーズ入り炒飯を運動部らしくガツガツ食べながら、直葉は涼人の問いに答える。何やら顔が赤いが、どうやら怒っているのと恥ずかしいの両方のようだ。
「あーもうっ!ごちそうさま!」
「はい、お粗末さん」
食べ終わった直葉が、食器をキッチンに持っていき、軽く洗ってかごにブチ込む。
帰りに冷蔵庫の中から紙パックのオレンジジュースを出し、ダイニングテーブルの上の籠の中に入れてあった今朝和人に渡したチーズマフィンを取って、口にくわえたまま竹刀を持って縁側へと向かって行く。
「太るぞ」
「うんろうふるはらはいしょぶ」(運動するから大丈夫)
「ったく……」
そのまま無言で正面を向き、涼人も炒飯をかき込んでいく。
途中縁側の方で、何やら直葉と和人が話しているのが見えたが取りあえず食べる事に集中した。美味かった。
食器を洗い終わった頃、和人がリビングに入って来た。
「兄貴……話が有るんだけど」
「行く気か?」
「え、何で知って……」
「ソフトも買ったぞ?っま、善は急げってな?」
「いや意味分かんないんだけど……まぁ、分かってるなら話は早い。か」
呆れたように溜息を突く和人だったが、再び表情を引き締める。
「俺は、アスナを探しに行こうと思ってる」
「だろうな。んじゃさっさと行くぞ」
「……あぁ!」
そう言って、涼人は手を拭き、二階へ続く階段がある廊下へ向かおうとする。和人もそれに続くが、階段の途中で不意に和人が立ち止まった。
「あ、そうだ言って無かった」
「どした?」
訝しげに眉をひそめて振り向いた涼人と眼を合わせて、和人はニヤリと不敵に笑う。
「またよろしくな。“兄貴”」
「……おうよ。“兄弟”」
それが、アインクラッド最強の兄弟の復活の合図だった。
────
自室に戻り、携帯を充電器に置いた後、机の上に置いてあった濃紺のヘルメット型機械を持ちあげる。
《ナーヴギア》
涼人と和人を二年もの間別世界に縛り付けて居た機械であり、同時にその間あ
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