空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
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きたのは間違いなく褒め言葉なのだが、どこか聞き飽きたような感じがする言葉だった。例えば、アリサが下ろしたての洋服を着てくると翔太は殆どそのことに気づくのだが、毎回出てくる言葉は似たような言葉だ。自分ならすずかの洋服はもっと褒められるというのに。
そのことに不満と疑惑を持ってしまったアリサは思わず、ジト目で翔太を見てしまう。
「……ショウ、めんどくさくなってない?」
図星をつかれて少し正直な人間なら表情が引きつるとか、肩が動くとかリアクションを返しそうだが、翔太の場合は、アリサの疑惑を受け流すように表情を一切変えることはなかった。
「そんなことないよ。うん、可愛いよ」
まるで付け加えるような言葉。だが、おそらくそれは本音なのだろう。ただ、翔太は褒めるべき言葉が少ないのだ。だからこんな風になってしまう。それを改めてアリサは理解した。できれば、もっと数を増やして欲しいとは思うが。しかし、それが翔太といえば、それまでだ。無理してまで飾って欲しくないというのも本当だから。
「まっ、今回はショウを信用してあげるわ」
だから、今回は許してやることにした。きっと、次も似たような事があったら、似たようなことを考えて許すんだろうな、と心の隅で思いながら。
それから、三人で記念撮影をして、目的である温泉街へと飛び出した。
アリサが前日までに調べた中に当然のように温泉街についての調査も入っていた。面白そうな場所。楽しそうな場所。興味があるものがありそうな場所。冊子に挟まれた地図の中にきちんと印がつけられていた。
その中には、当たりも外れもあった。想像していたよりも面白い場所。想像していたよりもつまらない場所。期待はしていなかったが、意外にも楽しめた場所。様々な場所があった。もっとも、一番効果的だったのは三人一緒だったからというのがあるのかもしれない。何も考えることなく、ただ三人で遊ぶ事が楽しくて、きゃーきゃー言いながら、彼らは温泉街を駆け巡った。
さて、そんな最中、不意にアリサの目に止まったのは、路上に広げられた布の上で、昨日と同じく快晴となり、雲ひとつない空から燦々と照りつける太陽の光を反射する金属だ。もっと注目してみるとそれは、チェーンに繋がれたいわゆる首から下げるアクセサリーのように見えた。
アリサとて、まだ小学生とは言え、女の子だ。いや、むしろ小学生の女の子だからだろうか。そんなものへの興味は人一倍だった。だからこそ、足を止めて屈みこみ、アクセサリーを覗き込む。三人は全員子どもだけで見ているだけでは何か言われるだろうか、と不安だったが、店主はどうやら気のいい人物だったようで、「いらっしゃい。ゆっくり見て行ってくださいね」と迎え入れてくれた。
それならば、遠慮なく見て行こうとアリ
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