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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
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 だから、いつもと違ってショウくんを私の隣に? 車の中でも? お布団のときも? もうアリサちゃんはショウくんと恋仲だから? 余裕なの?

 頭の中がぐちゃぐちゃする。心の中は、ジクジクとどす黒い何かが染み出し、ドロドロとそれはすずかの心の中を這いずり回り、気持ち悪い。何より、今の自分の感情が一切コントロールできず、分からない事が悔しく、苛立たしかった。

 ―――分からない、わからない、ワカラナイ。

 何もかもが分からなかった。翔太に対してどんな反応をすればいいのか、アリサに対してどんな態度を取ればいいのか、自分がどうしたのか、自分の中の感情は一体何なのか、分からなかった。

 いや、正確にはわかりたくなかったのかもしれない。アリサはすずかにとってもお友達だったから。ただ、それでも黒いくらい感情が浮かんでしまうのは、翔太とアリサでは優先度が違うからだ。アリサに対しては何も話していないが、翔太は自分に関するすべてを話し、受け入れてくれた。

 その違いだが、大きな違いだ。だからこそ、すずかは、アリサを気にせず翔太と仲良くなりたいと思ったのだから。

 そう、すずかは心の奥底では、既に選択しているのだ。どちらかを捨てなければならないならば、どちらを捨てるかなど。

 しかし、それに気づかない。気づかない振りをしている。自分が捨てられると思っているものに、自分が一番欲しい翔太の隣という場所を取られているという事実を認めたくなくて。自分の中にそんな黒い感情があることを否定したくて。

 もう、嫌だった。何も考えたくなかった。考えれば考えるほどに、心の中からジクジクと染み出してくるどす黒い何かは増えていき、ドロドロとした黒いものも這いずり回る。考えれば考えるほどに苦しくなり、頭が痛くなる。もう嫌だった。何もかもが。

 だからだろう、夜の一族としての自分が確かに心の隅で小さく囁くような声が聞こえてしまったのは。

 ―――もう、簡単に解決しちゃえば?

 何を馬鹿なことを。と思うが、これ以上聞きたくなかった。逃げ出してしまうのは最適な答えだったから。確かにすずかは選んでいる。だが、だからと言ってそう簡単に捨てられるわけがない。だが、それでも、この苦しさから逃げ出したくて、故にその甘言に乗ってしまうかもしれなくて、でも、それも嫌で。

 だから、別の場所にすずかは、逃げ出した。昨日と同じく夢の中へと。そこはきっと優しい場所だから。

 自分の感情が理解できなくて、コントロールできなかった事が悔しかったのだろうか、よほど苦しかったのだろうか。眠りに着いた彼女の瞳から一筋の雫がこぼれる。それは、重力に従い頬を伝い、顎を伝って、雫となって零れ落ち、すずかがお守りのように握っているアクセサリーの一部に零れ落ちた。

 そ
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