SAO編
五十六話 骸骨の刈り手と
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た。
止める暇も無く、ヒースクリフに向かって行くその男の前で、ヒースクリフが左手を振って幾つかの操作をした瞬間……
「ガアァっ!」
男が、いきなり地面に倒れ込んだ。
HPバーが緑色の枠に囲まれている所を見るに、麻痺毒だろう。
そのまま、ヒースクリフが幾つかの操作を続ける。そして……
「あっ……!?」
「アスナ!?くっ……!」
ヒースクリフの周囲に居たプレイヤー達が、一斉に麻痺毒によって倒れ込んだのだ……“キリトを含めて”
「どうする気だ。この場で全員殺して隠蔽か?」
「まさか、そんな理不尽な真似はしないさ」
床にはいつくばりながらも、顔を上げてヒースクリフを睨みつけるキリトに対し、ヒースクリフは再び肩をすくめて答える。
その姿はどこか楽しげだ。
「こうなってしまった以上は致し方ない。予定を早めて、私は最上階の《紅玉宮》で君たちの訪れを待つ事にするよ。だが……その前に…………」
ヒースクリフの目線がゆっくりと上がり、ある一点を凝視する。
そこに居るのは、彼と同じく、この場でたった二人だけ立っている男の……もう一人。
「リョウコウ君……君に、チャンスを上げよう」
「え……」
「な……」
「…………」
灰色の浴衣姿に、青竜偃月刀を側に立てた男。リョウコウへと、その視線は真っ直ぐに向いていた。
彼もまた、その視線を真っ直ぐに受け止める。
「最も早く私の正体に気付いた報酬だ。私と……デュエルしないかね?」
「……この世界の終わりを掛けて……ってとこか?」
「その通りだ。勿論、不死設定は解除する。オーバーアシストも、使わぬと約束しよう」
「…………」
無言でにらみ合う二人の間には、重たい空気が流れるが、その実、この場において彼らを除く誰もが、この状況を理解出来て居ない。
「も、最も早くって何だ!?説明しやがれリョウ!」
クラインの言葉は、恐らくこの場に居た全ての者たちの気持ちを代弁していただろう。皆一様に、何故この状況でリョウが選ばれるのかが理解できない。
対して、リョウは唯一つ。大きなため息をついた後、答えた。
「ま、そのまんまだ。俺はヒースクリフの正体を知ってた。……つか、気が付いたんだよ。もうかなり前にな」
「い……何時だ!?何時気付きやがった!?」
「あー、第七層が攻略されてすぐの頃だったか」
「な……!?」
ボス部屋全体の空気が騒然となる。
それはそうだろう。もう一年半以上前に、全ての黒幕の正体に気が付いていたと言われれば誰だって驚く。
「此奴にギルドに誘われて……一回だけ入ってた事があったんだが……一日中一緒に居たらなーんとなく分かっちまって……現実で出会った茅場と此奴の雰囲気が、まるで一緒だったんだよ……勿論似てるだけっつー可能性もあ
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