暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第六話 大天その四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「妖精と同じだな」
「これはこの前に話したかのう」
「確か」
 静かに博士に答える。
「そうだったと覚えている」
「名前が違うだけで大体同じじゃ」
「そうか、やはりな」
「特に怖がることもないのがここでもわかると思うが」
「元から怖がってはいない」
 やはり表情を変えずに博士に答える。
「驚きはしたがな」
「普通はもっともっと驚くんだけれどねえ」
「心臓が吹き飛ぶ位にね」
「ねえ」
 牧村の言葉を聞きつつまた妖怪達が言い合う。
「それでもこの人はこんなのだからね」
「何か拍子抜けっていうかね」
「面白くないよね」
「面白いことをするつもりもない」
 やはり素っ気無い牧村の返答だった。
「別にな。今はそうした時ではない」
「じゃあ面白いこともできるの?この人」
「想像できないよね、全然」
「ねえ」
 やはりどうしてもそれはできない妖怪達だった。
「こんなのだからね」
「漫才師とか向いてると思う?」
「まさか」
 ふと想像してみるがどうしても無理だった。
「全然向いてないよ、お笑いは」
「芸能人だったらあれ?俳優さん?」
「随分役柄が限られている感じだけれど」
「芸能界にも興味はない」
 ここでもこんな返事の牧村だった。
「特にな」
「まあその方がいいよ」
「向いてないからね」
「それも絶対」
 また妖怪達は牧村に話す。
「賢明な判断だね」
「まあその話は置いておくのじゃ」
 博士はここでまた口を開いた。妖怪達の話を終わらせたのだ。
「きりがないぞ」
「あっ、御免」
「それじゃあ止めるよ、博士」
「そういうことじゃ。とにかくじゃ」
 ここで牧村に顔を戻してきた。
「大天使についてはこれから調べておく」
「わかった」
「少なくとも悪いようにはならんよ」
「それは確かか」
「天使の階級はあれでかなり厳格なのじゃよ」
「天使だけではないか」
 これがまだ今一つ把握できない牧村だった。
「ただ天使だけがいるとだけ思っていたのだがな」
「最初の髑髏天使はどうだったかわからぬぞ」
「最初とは」
「だからじゃ。昔からおったのが髑髏天使じゃよ」
 博士が今度言うのはこのことだった。
「キリスト教以前からな」
「では時代と共に形が変わるのか」
「その証拠に御主の髑髏天使としての姿はどうなっておる?」
 博士が次に指摘したのはこの部分だった。
「まず頭は髑髏じゃな」
「ああ」
「そして西洋の鎧を着ておるな」
「その通りだ」
 確かな声で博士に答える。
「考えてみよ。その鎧ができたのはほんの数百年前じゃ」
「数百年前か」
「十字軍の時代やアーサー王ではあれじゃよ。鎖帷子じゃ」
 これは絵画にもよく表わされている。アーサー王の伝記ではランスロ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ