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SAO─戦士達の物語
SAO編
四十二話 語らう(彼女)
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は己の負けを悟り、ガックリと肩を落とす。

「アスナって意外と意地悪だね……」
「あはは……リズのが移ったのかも」
 アスナはこの手の話題好きの友人を思い出して、苦笑しつつも話を進める。

「ちなみに、リョウは知ら……ないよね?」
「うん。多分気付いて無いと思う……」
 サチがそう言ってから、女子二人は「「……はぁ」」と同時に溜息を付く。
全くそろいもそろって手強い相手に恋心を持ってしまったせいか、二人の間には妙な仲間意識が芽生え始めていた。
とは言え。

「そう言えば……アスナはどうしたの?」
 サチはともかく、アスナは既にその手強い相手に気持ちを伝え、報われている訳である。
昨日の夜思った事を唐突に思いだしたサチは、思い切ってその旨をアスナに問うてみる事にした。
即ち、アスナの半年間の記憶をである。

「え?あ……うーん、私はきっかけが昼寝だったから……」
「昼寝?」
「うん。あのね……」
 アスナの恋愛記録は、流石に相手がキリトと言うべきか。普通のそれとは少々毛色の違うものだった。

────

 二人の出会いは、先ずキリトが昼寝していた所から始まる。それをアスナは注意したが、しかしキリトはそれに従う事は無く、それどころか、アスナにも昼寝をするように勧めたのだそうだ。
 当時のアスナは悪夢による不眠症に悩まされており、一日に二、三時間しか眠れぬ日々を送っていた。しかしその時は……キリトの隣の日溜まりで眠ったその時は、本当に何の悪夢も見ることも無く、久方ぶりに、ぐっすりと眠れた。
その時アスナは知ったのだ。ただ脱出だけを目指して心を「殺す」道では無く、この世界の中で「生きる」と言う道を。
 それまで彼女にとっては「活動」でしかなかったこの世界での日常が、「生活」に変わった瞬間。

 サチはアスナに極近い経験をしていたので、アスナのその経験がキリトへの恋心へとつながる事はとても自然に理解する事が出来た。

 それからの話は聞いていて楽しかった。その後直ぐに起こった事件でキリトと協力する所から始まり、キリトと連絡を取りたくて同時期に知り合ったリョウに頼ったり、メッセージをちょくちょくと送ったり、お茶に誘ってみたり、ボス攻略会議で積極的に話しかけてみたり。キリトが危ない事をしたと聞けば飛んで行って注意をしたりもしたそうだ。
とにかく、小さな努力の積み重ねをして行った。結果、半年の時を経てついにここまで辿り着いたのだ。
 彼女の思いは、報われた。

────

「って言う感じ……かな?」
「…………」
 頬を若干赤らめて話し終わったアスナの眼前に座るサチは、放心状態になっているように見えた。全く動かず、呆けたように口が少しだけ開いている。

「さ、サチ?」
「へ!?あ、ごめん……
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