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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第十話
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従事していた。

 そしてアルヌスから二百キロ圏内でイタリカの街を発見したのである。今村はアルヌスの周辺は元よりイタリカの街までの道の地図を精巧に作らせて侵攻計画の第一作戦を策定するのであった。

「門を出たら戦闘地域って事になってるから各員それなりに気を張ってくれ」

 伊丹はそう言って兵士達は九四式六輪自動貨車に乗り込む。

「さて行くか」

 そして準備を整えた第三偵察隊は仮設住宅の場所に向かう。

「御願いします」

 仮設住宅の場所に到着すると、避難民が採取した翼竜の鱗が入った袋を九四式六輪自動貨車に載せる。

 そして第三偵察隊の同乗者としてテュカ、レレイ、ロゥリィの三人が乗り込む。しかしテュカとレレイが伊丹の乗る自動貨車に乗るのに対してロゥリィは樹が乗り込む自動貨車に乗ったのである。

「よかったな摂津」

 伊丹がニヤニヤしながらそう言ってきたので樹はそれを無視して自動貨車に乗り込む。

「中尉、イタリカって何処ですかね?」

「そういや知らんな。ま、後ろからついていけば分かるだろ」

 片瀬の質問に樹はそう答えるのであり、第三偵察隊は同乗者達を乗せて出発するのだった。




「……む?」

 その時、自動貨車の荷台から前方に顔を出して双眼鏡でイタリカの方向を見ていたヒルダが声をあげた。

「どうしたヒルダ?」

「イタリカの方向に黒い煙が出ている。あれは……火事かもしれないな」

 ヒルダは樹にそう報告する。

『全車に告ぐ、周辺と対空警戒だ。慎重に接近する』

 その時、無線から伊丹の指令が届いた。

「片瀬、前と速度を合わせろ」

「了解です」

 樹が乗る自動貨車は減速してゆっくりと走行する。後ろの席にいたロゥリィがにょきっと片瀬と樹の間から顔を出す。

「どうしたロゥリィ?」

「血の匂い♪」

 ロゥリィは嬉しそうに言う。ロゥリィの喜び顔に樹は若干の溜め息を吐いた。

「……嫌な予感がするな。ヒルダ、イタリカがどんな街か知ってるか?」

 樹はそう思いつつヒルダに聞いた。

「あぁ、イタリカはフォルマル伯爵領でテッサリア街道とアッピア街道の交点に発展した交易都市だ。確か今の当主はミュイとかいう少女だ。前当主が急死して十一歳にして当主になっている」

 ヒルダはそう説明する。水野はふぇ〜と驚いている。

「十一歳で当主か……俺ら言えば小学生なのにな……」

「仕方ない、此処は日本じゃなくて特地だからな」

 樹はそう言った。第三偵察隊は慎重にゆっくりとイタリカへ走行していた。







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