第五話 襲来その十三
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「さあ、これはかわせるかな」
「むっ!?」
「この前はまだ手加減していたんだ」
弓矢を構えながら髑髏天使を見下ろしている。
「まだね。けれど今度は違うよ」
「違うというのか」
「君の実力は本物だから」
また髑髏天使を認める言葉を口に出してきた。
「だからだよ。さあ」
「また来るか」
「かわせるかな?これが」
言いながらその弓矢を放つ。今度はその数も矢が降り注ぐ範囲もかなり広かった。少なくとも先程までとは比較にならない程のものだった。
髑髏天使は後ろに跳びそこから一旦跳躍して橋の上に跳んだ。それで烏男に少しでも近付き攻撃を仕掛けるつもりであった。
「ふうん、やっぱり諦めないんだ」
「諦めてどうにもなるものではないからな」
それは最初からわかっているのだった。
「だからだ。これならな」
「飛び道具がないのが惜しいね」
「しかしそれでもやり方がある」
「また跳んで来るっていうのかな」
「少し違うな」
烏男を見据えて言う。言いながら博士が言ったその言葉に従い念じた。あれが来ることを。
(来い)
「んっ!?」
その瞬間だった。烏男が声をあげた。そして彼は前、髑髏天使の後ろを見るのだった。
「何か来た!?」
「速いな」
髑髏天使はこの時烏男を見ながら耳で音を聞いていた。
「もう来るとはな」
「あれは・・・・・・サイドカー!?しかも」
「この音は。そうか」
髑髏天使はその音を聞いてわかった。サイドカーが今何処を進んでいるのか。それは水の上だった。河の上を進んでいるのだ。赤い夕陽に照らされ赤と銀に照らされている水面を二つに割り白い水飛沫をあげながら戦場に突き進んできているのだった。
「そういった能力もあるのだな」
「いや、凄いね」
烏男はそれを見ても相変わらずの楽しそうな笑みだった。
「まさか河の上を操縦者なしで進むことができるなんてね」
「特別なマシンでな」
髑髏天使は彼の言葉にこう返した。
「それでだ。驚くことはない」
「驚くっていうか感心したよ」
「感心か」
「だってさ。普通はないからね」
橋の上に立つ髑髏天使、そしてこちらにやって来るサイドカーを見ての言葉だった。その二つを見比べながら弓矢を手にしているのだ。
「こういうのはね」
「それだけか」
「面白いのはこれからだから」
だからだというのだ。
「そうじゃないの?まだ驚かないよ」
「驚かないか」
「さあ、今度は何を見せてくれるの?」
楽しそうな笑みを消すことなく髑髏天使に対して問う。
「今度はさ。水の上を走るだけじゃないよね」
「多分な」
「多分って。乗ってる本人の言葉じゃないけれど?」
「俺もまだ完全には知らない」
これは本当のことだった。彼もまだ自分のサイドカーが何処ま
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