第四話 改造その四
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「何が堕落なんだ。それは御前だけだ」
「本当に坂口安吾が嫌いなのね」
「最近は特にな」
「特になの」
「色々とあったからな」
髑髏天使のことだがそれは決して言葉には直接出さないのだった。その辺りは用心していた。元々慎重な性格がここでも出ていた。
「だからな」
「ふうん、そういえば最近フェシングはじめたんだっけ」
「ああ」
若奈のこの問いにははっきりと答える。
「少しな」
「面白いの?フェシングって」
「やってみるとな。中々な」
表情は変えないがそれでもこれは心のある言葉だった。
「面白いものだな」
「そうなの。まあ私は」
「テニス部はまだやってるのか」
「ええ、そうよ」
若奈は牧村の今の問いに答えた。にこりと笑って彼に言葉を返す。
「私はやっぱりテニスが一番好きだからね」
「テニスもいいか」
「?何が?」
「いや」
やはり髑髏天使のことは言わない。どうしても言うことはできないことだった。
「何でもない」
「そうなの」
「しかし。テニスは左右のフットワークだな」
「知ってるんじゃないの?」
牧村の言葉がどうもわからないのだった。テニスを少し知っていれば言うまでもないことだ。だが彼はそれを言い続ける。それがどうしてもわからないのだ。
「それは」
「ああ、まあな」
また返事をするが少し曖昧な感じになっていた。
「そうだな。そっちも少しやってみるか」
「テニスも?」
「少しな」
「少しなって来期君」
若奈は彼の話を聞くうちに怪訝な顔になって彼の名を呼んでみせた。
「どうしたの?テニスに興味があるの?」
「ああ、ある」
また頷くがやはり返事は曖昧な感じである。
「左右のフットワークだな」
「また随分とこだわりがあるのね」
「フェシングはそこが問題になる。ラインが狭い」
「ええ、まあそうよね」
何が何かわからないまま牧村の言葉に応える若奈だった。
「それはね。まあ」
「しかしテニスのそれを入れれば。かなり変わるか」
「フェシングにテニスを入れるの?」
「そうだな。そうするか」
若奈の言葉は半分ぼんやりと聞いていた。考えは次第に髑髏天使に関することに集中していった。しかし自分ではそれには気付いていない。
「ここは。やはり」
「ちょっと来期君」
若奈はここでまた彼の名を呼んだ。
「どうしたのよ、一体」
「どうした?」
「そうよ、おかしいわよ」
口を尖らせて彼に問うた。
「今。考え事でもしてるの?」
「あっ、いや」
この問い掛けに対してはまた曖昧な感じの返答になっていた。
「それはない。別にな」
「日本語も少しおかしい感じになってるし」
「そうか」
「そうよ。とにかく少しおかしいわよ」
「俺は別に」
「とにかく。テニ
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